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福島県いわき市から参加する田島裕司さん。台風被害を知ってもらうための旗を手に、港町を駆ける=神戸市中央区港島2
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福島県いわき市から参加する田島裕司さん。台風被害を知ってもらうための旗を手に、港町を駆ける=神戸市中央区港島2

 17日本番を迎える「第9回神戸マラソン」(神戸新聞社など共催)に、福島県の小学校で教壇に立つ男性が初参加する。2011年の東日本大震災当時は6年生の担任だったが、卒業式は延期を余儀なくされた。先月の台風19号では自宅が床上まで漬かり、今も1階が使えない。そんな中でも出走すると決めた理由は大きく二つ。8年前の卒業式で子どもたちに伝えた言葉を実践するため。そして、ボランティア不足に悩む水害被災地の現状を訴えるため-。(西竹唯太朗)

 同県いわき市の田島裕司さん(49)。フルマラソンには20回以上の出場経験がある。阪神・淡路大震災の被災地がたどった復興の足跡を知ろうと、13年に神戸市中央区の東遊園地やメリケンパークを歩いた。「東日本の被災地では爪痕を『消してしまいたい』という声もあるが、神戸では残っている」。市民ランナーとしてそんな地を駆け抜けてみたいと、今大会に初めてエントリーした。

 11年3月11日、終業後の教室を震度6弱の揺れが襲った。幸いにも犠牲者は出なかったが、自宅が全壊するなどした児童もおり、学校は休校に。本来なら数日後に開かれるはずだった卒業式は4月にずれ込んだ。生まれ育った街が傷つき、元気を失う子どももいたが、式ではこんな言葉を贈った。

 「命があることに感謝して、目の前のことに最善を尽くしてほしい」

 メッセージがどう受け止められたかは分からない。ただ、「教え子に言ったからには、自分も実践しなければ」と心に誓った。

 以来、列島で災害が起きるたびに休日は被災地に通い、泥やがれきの撤去などボランティアに精を出してきた。秋田県や岡山県など遠方にも足を運び、活動は既に200回を重ねる。

 先月の台風19号では、いわき市全体が被災し、住宅約4千棟が浸水被害を受けた。田島さん宅も床上まで漬かり、平日は仕事を終えた後に自宅を片付け、休日は他の被災者宅でボランティアとして汗を流す。いまだ泥の撤去などが終わらず、元の暮らしを取り戻せていない被災者は多いが、ボランティアは減りつつあるのが現状だ。

 そこで考えた。「今、自分にできる『最善』は何か」と。出した答えが、予定通りに神戸マラソンを走ることだった。

 当日は災害に負けずに頑張っている姿をアピールするとともに、シンプルな白の布に大きく「来て」と書いた旗を手に走る。「台風後、ほとんど練習はできていないが、何とか走りきりたい」と田島さん。東日本大震災後に阪神・淡路の被災地から寄せられた感謝も胸に、スタートに立つ。

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