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 経済ニュースで「量的金融緩和」という言葉を聞いたことがありませんか? 景気を良くするため、日本銀行が世の中に出回るお金を増やす、という意味です。しかし、多くの人が景気が好転している実感を持てていません。それでも10月末、日銀は「量的金融緩和の継続」を決めました。狙いは何か。そして、これから私たちの暮らしにどんな影響が及ぶのでしょうか。(論説委員 藤井洋一)

■いつ始まった?

 日本経済は長らく、物価が下がり続ける「デフレ」に苦しんできました。物の値段が下がるのだから消費者にはプラスに思えますが、企業の売り上げが減り、賃下げやリストラで生活が脅かされます。

 2012年12月に再び政権の座に就いた安倍晋三首相は目玉政策「三本の矢」の一つに、大胆な金融緩和を掲げました。実行役は財務省出身の黒田東彦(はるひこ)氏。13年3月に日銀総裁に就任しました。

 それまでも日銀は緩和を行っていましたが、黒田総裁は「異次元」と呼ばれるほど踏み込みました。世の中に出回るお金の量を2倍にし、「物価を2年で2%上げる」との目標を掲げたのです。「黒田バズーカ」と呼ばれた大胆な策。物価が上がり景気も良くなるとの期待から、株価も上昇に転じました。しかし、バズーカによる炎はやがて消え、長続きしませんでした。

■どんな方法で?

 金融緩和は、銀行など金融機関から国債を買い取るやり方で行われています。

 金融機関は私たちの預金で政府から大量の国債を買っています。預金の利子より国債の利子の方が高く、利益が出るからです。

 狙いは、日銀から得たお金を金融機関が積極的に融資に回すこと。お金を借りやすくなれば、企業は工場建設や機械の刷新などに意欲的になるはずです。経済活動が勢いづき、給料や雇用が増え暮らし向きも良くなる-という理屈です。

 それから6年半。日銀が世の中に出回らせたお金の量は400兆円も増えました。しかし、経済の実態は思うようにはいきません。

 物価上昇率は、消費税増税があった14年を除き1%に届きません。物価上昇分を差し引いた実質賃金の伸びも、似たような水準です。

 金融機関が企業などに融資する額は、今年9月までに16%増えました。それでも約90兆円と、日銀が増やしたお金の約2割にとどまっています。大本の蛇口を全開しているのに、大量の“水”が生かせないまま、流れていってしまっているような状態です。

■なぜ、効果が出ない?

 銀行頼みの高度成長期と異なり、いまや大企業は株式市場などから資金を得られるようになりました。銀行の存在意義が低下しているのです。

 それでは、金融機関を当てにしている中小企業はどうでしょう。しかし、景気の先行きが見えないことから、借金による事業拡大には及び腰です。結局、融資額は伸びないのです。

 これでは効果は出ません。業を煮やした日銀が16年1月に踏み切ったのがマイナス金利。つまり、金融機関が融資に回さず日銀に預けたお金の一部から利子を取る政策です。

 そうすると、銀行は「日銀に預けて利子を取られるぐらいなら、企業などに貸して金利をもらった方がいい」と考え、企業活動が刺激されるのでは、と日銀はシナリオを描いたのです。

 これも、思惑通りにはいきませんでした。18年4月、物価上昇2%の達成目標時期とした「2年」は削除されました。

■続けて大丈夫?

 長引く緩和の副作用も出始めました。金利低下で金融機関の経営が悪化しています。このまま続ければ、バブル崩壊やリーマン・ショックのような深刻な不況に見舞われた際に打つ手がなくなるかもしれません。

 だからといってやめれば、株式市場への影響が懸念されます。日銀は上場株式に関連する金融商品を大量に購入しているからです。巨額の買い手がいなくなる不安から、株を手放す動きが加速して株価が下がり、企業収益や年金の運用益にも大きな影を落としかねません。

 進むも、退くも険しい状況。しかし、お金の量を増やすだけが景気活性化の手段ではありません。暮らしを豊かにする製品や技術の開発、社会課題を解決するサービス…。次の成長分野を見つけ出すことこそ、国も企業も求められています。

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