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まるで客席が見えているかのように話芸を披露する桂文太さん=神戸新開地・喜楽館
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まるで客席が見えているかのように話芸を披露する桂文太さん=神戸新開地・喜楽館
寄席への「出勤」は盲導犬の勇吾と一緒=神戸新開地・喜楽館
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寄席への「出勤」は盲導犬の勇吾と一緒=神戸新開地・喜楽館

 全盲の落語家・桂文太さん(67)が定席の「神戸新開地・喜楽館」(神戸市兵庫区新開地2)に出演し、若手をけん引している。客席は見えなくとも、観客の息遣いで場の雰囲気を読み取り、機転を利かせて笑いを誘う。「最近は心でしゃべれるようになった。はなし家としてやっとスタートラインに立った気分です」と意気盛んだ。(津谷治英)

 11月上旬、神戸・新開地。寄席に出演するため喜楽館に向かう桂文太さんのそばには、盲導犬の「勇吾」がぴったりと寄り添う。二人三脚で、住まいのある大阪から京都、神戸と関西一円へ。「この子のおかげで、あちこちに行けますわ」と感謝する。

 文太さんは京都市出身で、1971年、先代の故桂文枝(当時は小文枝)に入門した重鎮。外出時はサングラスをかけて穏やかな表情だが、舞台に上がるやプロの顔に一変する。この日は色街の女性が主人公の「松島心中」を披露。着物を買う金もないほど困り、一緒に心中してくれる相手を探す物語だ。

 「お染(そめ)は駆け付けた金蔵に『相談があるのん。実はお金のことやねん。50円いるの』と頼みこむんですなあ…」。着物の袖をつかんで女性のしぐさを演じる。若い頃に歌舞伎を鑑賞して研究し、磨いた芸だ。

 文太さんの目に異変が生じたのは40代後半。視野が徐々に狭まり、50歳の頃に失明した。難病の「網膜色素変性症」と診断され、治療は困難と言われた。日常生活で介護が必要となり、原稿を見てネタの要所を確認することもできなくなった。「はなし家としては致命傷でしたな」と振り返る。

 だが医師の「眼球はきれいに残っている」との言葉が励みになった。「表情が出せるなら落語はできる」とリハビリに努めた。演技をイメージしながら、新たに50以上の演目を身に付けた。

 約10年をかけて高座へ復帰。2015年には、大阪のなんばグランド花月で初の独演会を開いた。それから4年。喜楽館では若手落語家からの信頼も厚い。同門の桂三ノ助さんは「舞台の袖から中央までの歩数を覚えてはるんです」と感嘆する。

 文太さんは「若い頃、先輩から『落語は気が大事や』と教えられたが、やっと分かるようになりました」としみじみ。同時に「世の中の別の面が見えてきました」とも。盲導犬を連れているのに、平気でぶつかってくる人に出会うことがある。「それも芸に生かせます。話せる限り高座に上がりたい」と笑顔を見せた。

 喜楽館では今月、30日の昼席でトリを務める予定。同館TEL078・335・7088

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