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かいぼりのため、水をすっぽり抜いた路谷池=淡路市小田
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かいぼりのため、水をすっぽり抜いた路谷池=淡路市小田
巨大なコイなど、さまざまな生き物が捕獲された=淡路市小田
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巨大なコイなど、さまざまな生き物が捕獲された=淡路市小田

 農閑期にため池の水を全て抜く「かいぼり」が、兵庫県淡路島など各地で復活している。かつては水質浄化などを目的に広く行われた伝統行事だが、農業者の高齢化や手間が掛かることなどから姿を消しつつあった。復権の背景には、防災面に加え、栄養豊かな底の泥を海に流すことで養殖ノリの色落ちや漁獲量の減少を防ぐなど、新たな効果への期待もある。(上田勇紀)

 10月中旬、淡路市小田の山あいにある路谷池(貯水量11万立方メートル)で8年ぶりとなるかいぼりが行われた。作業は2日がかりで、地元の漁業協同組合やため池関係者ら延べ約200人が参加した。

 事前に少しずつ水を抜き、最後に「底樋(そこひ)」を抜いて残っていた水を川に流した。用意した網にはフナやコイ、カメなど大小さまざまな生き物が掛かった。外来種は駆除し、他の魚は別の池に移すなどした。

 淡路島でかいぼり復活の転機となったのは2007年度。同市のダムの水などを海に流したところ、ノリ養殖業者の間で「ノリの色つきが良い」と評判になったという。その後、農業、漁業者らが協力して「淡路東浦ため池・里海交流保全協議会」を結成。行政の支援も受け、市内各地のため池でかいぼりを続ける。

 谷正昭会長(70)は子どもの頃、かいぼりで魚を捕った思い出を持つ。「池の底が空気に触れると、水質改善にもつながる。農漁業者が手を取り、地域に愛されるため池が増えてほしい」と笑顔を見せた。

     ◇    ◇

 「ため池王国」兵庫には、全国一となる約2万4千カ所ものため池がある。水を抜くことで、普段は見えない池の中を点検できる▽貯水能力や水質の向上、外来種駆除にもつながる-。淡路県民局はこうした点に着目し、12年度にかいぼりの補助制度を設けた。

 19年度はかいぼり1件につき、補助を最大20万円に倍増。その効果もあり、08年度に島内2カ所だけだったかいぼりは、19年度は過去最多となる13カ所(いずれも同局把握分)で予定される。

 管内にため池が多い東播磨県民局も、人的な面の支援などでかいぼりを後押しする。県農村環境室によると、県内でのかいぼりは18年度、確認できただけでも淡路や東播磨を中心に257件に上った。15年度の1・3倍で、浸透を見せる。

 同様の動きは県外でも注目される。東京都は13年度から、井の頭恩賜公園の「井の頭池」でかいぼりを始めるなどし、19年度は13カ所に広げた。都は「生態系の回復や水質改善に効果があった」とする。

 また農林水産省は今年8月、国土強靱化(きょうじんか)の対策事例集を発表。豪雨対策の一つにかいぼりの取り組みを盛り込んだ。淡路島でため池の貯水量確保や危険箇所の発見、防災意識向上などに効果があったと紹介し、さらなる広がりを期待する。

■漁獲量アップへ県も本腰

 兵庫県によると、下水処理場の処理能力改善や生活排水処理対策などにより、窒素など魚介の栄養のもととなる「栄養塩」が過度に減り、養殖ノリの色落ちや漁獲量減を招いているという。今春も不漁に見舞われたイカナゴは、栄養塩濃度の低下に同調して減少していることが県水産技術センターの調査から読み取れる。

 県は瀬戸内海で窒素やリンの海中濃度の回復を目指し、今年10月に条例を改正。全国初の取り組みとして、窒素やリンの海中濃度に下限を設ける目標値を告示した。かいぼりと同じく、養殖ノリの色落ちや漁獲量減への対策として期待が集まる。

 「豊かで美しい瀬戸内海の再生を推進したい」と担当者。県は今後、下水処理場の排水についても、水質基準の緩和に向けて県議会に条例改正案を提出する方針だ。

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