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「このピアノで教えました」と話す広中節子さん=神戸市垂水区
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「このピアノで教えました」と話す広中節子さん=神戸市垂水区
三浦謙司さん
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三浦謙司さん

 今月、フランスで開かれたロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクール(ピアノ部門)で優勝した三浦謙司さん(26)=神戸市垂水区出身=と、小学生の時の三浦さんを指導したピアノ講師広中節子さん(69)さん=同区=が今も交流を続けている。無料通信アプリ「LINE」(ライン)で届いた受賞報告には「チャレンジ精神を忘れずに頑張ります」と書かれていたという。長年、心の支えとなってきた広中さんは「悩んだ末に成長した姿を見せてくれた」と喜んだ。(津谷治英)

 同コンクールは若手の登竜門としてピアノ、バイオリンの2部門で1943年に創設。その後、声楽を加え現在の大会名となり、毎年1部門だけ開いてきた。三浦さんは日本人のピアノ部門で6人目の優勝。

 広中さんが自宅で開く教室に、塩屋小学校2年の三浦さんと母親が訪ねてきたのは19年前。学業成績は優秀、運動能力も高かった。当時から音階を「ドレミ」ではなくドイツ語で覚え、リズム感も抜群だった。

 聴く力を重視する広中さんは、生徒と一緒に演奏会に足を運び、良質な音に触れさせた。ウィーン旅行にも連れて行った。「ベートーベンが思索にふけった散歩道を訪ねた時、三浦君は熱心にメモをとっていた」と振り返る。

 小5の時、三浦さんが父親の仕事の都合で海外へ渡った後も交流は続いた。英国の音楽学校を卒業して一時帰国した際、広中さんが神戸市長田区の兵庫県立文化体育館でリサイタルを企画。海外修業で身に付けたショパン、ブラームスの曲などを聞いたが、広中さんは課題に気付いた。高い技術の半面、「心に響く音が少ない」。

 実際、三浦さんはその後、壁に当たる。ベルリン芸術大学に合格したが中退。連絡が途絶え、数年後、広中さんはその理由を聞いた。「音楽漬けで、ゆっくりものを考える時間がなかった。少し離れたかった」

 三浦さんが自ら選んだ試練だが、この決断が実を結ぶ。2年後、再び鍵盤に向かい、2015年の浜松国際ピアノコンクール(静岡県)で奨励賞に。見事にブランクを克服した。その演奏を聴いた広中さんは「情感のこもった音が出せるようになった」と胸がいっぱいになった。

 その後はぐんぐん伸び、今回の受賞で一段高いステップに上がった教え子。広中さんは「伝統的組織の力を借りず、一匹おおかみでやってきた。人間として大きくなった。さらに演奏に磨きをかけてほしい」と期待している。

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