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ミクロン単位の微細な粉体。原料となる植物の配合により10種類ほどある
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ミクロン単位の微細な粉体。原料となる植物の配合により10種類ほどある
植物性の粉を吹き付ける「エアー鉋」。古いだんじりも美しく=姫路市的形町的形
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植物性の粉を吹き付ける「エアー鉋」。古いだんじりも美しく=姫路市的形町的形
黒ずんだ建具(奥左)も見る見るきれいに(奥右)
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黒ずんだ建具(奥左)も見る見るきれいに(奥右)

 城や寺社など古い木造建築物を美しく再生させる新技術が注目を集めている。滋賀県の会社が開発した「エアー鉋(かんな)」。木や植物の種を細かく砕いた粉を吹き付け、汚れや腐食を取り除く。エコで使いやすいと評判で京都・二条城の修理に活用され、兵庫県姫路市でもこの技術を使う新会社が発足。祭り屋台など播磨ならではのニーズも生まれている。(小林良多)

■姫路の会社採用 だんじりも再生

 「プシューッ」。ノズルから薄茶色の粉が霧のように噴き出し、黒ずんだ建具が見る見るうちに明るい色目に変わった。

 9月末、姫路市内で開かれたエアー鉋の説明会には工務店関係者ら約20人が集まった。腕を組んでじっと見ていた加古川市の建設業の男性(64)は「木の表面が傷つかないばかりか、逆につやが出てくる」と身を乗り出した。

 開催した姫宮実業(姫路市的形町)は全国に約20社あるエアー鉋を使う業者の一つ。清水まゆ美社長(49)は「植物を砕いた粉を使うので環境に優しい。手軽に建物を若返らせることができる」とPRした。

 エアー鉋を考案したのは、グランドライン社(滋賀県草津市)。従来、木造建物の見た目を美しくするには「洗い」と呼ばれる手法が使われてきた。しかし、薬剤を使うには熟練が求められる上、湿度が高い山上などでは使いづらいことなど課題があり、早川悟社長(49)は解決策を探った。

 2015年、木や植物の種子を砕いた粉と空気を混合して噴射するエアー鉋が完成。繊細な彫刻を残して汚れだけ取り除いたり、ミクロン単位の薄さで削ったり。噴射速度などを変えることで調節できる。作業は1平方メートル当たり1分ほどで済み、工期も大幅に短縮できる。

 金属の表面の汚れも取り除くことができ、世界文化遺産二条城では東大手門の修理に用いられた。評判が広がり、各地の文化財から注文が相次いでいる。

 清水社長は建設業とは無縁だったが、今年2月に早川社長と出会い、エアー鉋を使う新会社を立ち上げた。現代の名工に選ばれた地元の大工福田喜次さん(67)が手掛け、今月初めには、高砂市高砂町農人町のだんじりを美しくよみがえらせた。清水社長は「夢のある技術にほれ込んだ。工事費の安さも魅力の一つで、お城に代表される播磨地域の歴史的建物や家屋の維持を後押しできるはず」と話している。

■「洗い屋」減少で注目

 伝統的な日本建築は変色しやすく、表面のカビも厄介な敵となる。こうした汚れを落とすのに、古くから「洗い屋」と呼ばれる業者が活躍したが、住宅事情が様変わりする中、職人は減っているという。

 日本建築の修復技術史が専門の中山利恵・京都工芸繊維大学助教によると、木材の汚れを取る「灰汁(あく)洗い」は400年前の文献に登場する。明治期以降はカセイソーダなど薬品を使う方法が普及した。木の種類や色合いに応じた最適な薬品と濃度、後処理が求められるが、寺院などが経験の浅い業者に工事を頼み、木肌が荒れた事例もあるという。

 中山助教は「上手な洗い屋は経年の色合いを生かした美観を実現する。手間もコストもかかるこうした技術を認める文化は失われつつある」と指摘する。

 姫路市内で美装業を40年にわたり営む村上泰則さん(64)は「木造建築が減り、『洗い屋』という呼び名さえ知らない人が増えた。古くなった建物の依頼は年に一度あるかないか」とこぼす。

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