井山、攻め合い制し三冠死守 囲碁・天元戦第5局
2019/12/18 20:55
5連覇を達成し、感想戦で対局を振り返る井山裕太天元=18日午後、徳島市、徳島グランヴィリオホテル
 死闘制し、三冠堅持-。18日に徳島市の徳島グランヴィリオホテルで行われた第45期天元戦5番勝負の第5局。井山裕太天元(30)=棋聖、本因坊=が勝負強さを発揮し、許家元八段(21)の挑戦を退けた。2度目の七冠同時制覇から1年4カ月で四冠を失った井山だが「最近の調子は悪くない」の言葉通り、今年最後のタイトル戦をものにした。
          
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 終局直後、井山天元が「難しかった。分からなかった」と首をかしげた難解な戦い。大石の死活も絡んで、最後まで手に汗握る攻防が繰り広げられた。
 右上一帯から競り合いが始まった最終局は、井山が白54(16十一)から64(16十四)と右辺に先着して有利な展開に持ち込んだ。しかし右下黒を取りにいった白106(18十五)が問題になり、黒109(16十三)と切断され中央白一団が危険になって、黒良しのムードに変わった。許は上辺白を攻めた後、中央白に襲いかかるなど懸命の攻めを見せたが、反撃に出た井山が左下黒との攻め合いに持ち込み、最後は手数が足りないと見た許が投了した。
 立会人の石田秀芳24世本因坊は「右上は許八段が失敗した感じだったが、井山天元も右辺で打ち過ぎがあり、容易ならざる形勢に。しかし井山天元の白148(6十)が絶妙のタイミングで盛り返し、押し切った」と総括した。
【井山裕太天元の話】白32(11五)は38が良かった。右下黒を取り切ってシノギ勝負に出たのはやり過ぎだったかも。白164(7五)とコウを仕掛けて打ちやすくできたと感じた。シリーズを通して、今の自分としてはうまく打てたと思う。
【許家元八段の話】右上の戦いは白30(12五)に切られて苦しくなった。黒47(13七)が悪かったと思う。白の大石を狙う展開となったが、周囲の黒も薄いので難しかった。5番勝負では押された局面が多く、この結果は仕方がない。
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