<人>囲碁・天元戦で5連覇 井山裕太さん

2019/12/19 10:21

井山裕太さん

■囲碁・天元戦で5連覇し「名誉天元」の称号を得た 井山裕太さん 関連ニュース 新春対談 囲碁の一力遼天元と将棋の藤井聡太王位 AIや対局の醍醐味、意外な共通点とは? <棋界この1年 囲碁>一力四冠の偉業、国際戦も制す 井山は最多タイトル 一力、芝野退け初防衛「一局一局に新たな発見」 囲碁・天元戦、ライバルとの熱戦振り返る

 七冠同時制覇を2度も成し遂げた「絶対王者」を脅かす若手棋士の一人、許家元八段の初挑戦を底力で跳ね返し、三冠を死守した。第45期天元戦5番勝負を制して5連覇を達成、「名誉天元」の資格を手に入れたが「防衛記録は一つ一つの積み重ね。光栄なことだが、意識せず平常心で戦ったからこそ得られた」と静かに喜びを語る。
 五冠でスタートした2019年は苦しい一年だった。棋聖戦は防衛したものの、4月の十段戦で失冠。7月には本因坊戦8連覇を達成したが、天元戦と並行して打たれた王座戦は20歳の芝野虎丸名人にタイトルを奪取され、「井山一強時代に陰りが見え始めた」とささやかれた。
 挑戦者の許八段には昨年碁聖を奪われている。今シリーズも常に先行され、厳しい展開に。しかし数々の大舞台を乗り越えてきた経験者は冷静だった。「リードされても一局一局は五分の戦い。ベストを尽くせばチャンスがあると信じていた」。最終局の会場となった徳島は、昨年七大タイトルの通算獲得数を43期とし、歴代単独1位の記録を達成した思い出の場所。「良い印象のまま戦うことができて良かった」と表情を緩めた。
 趣味はスポーツ観戦。出身地の大阪府東大阪市にある花園で行われたラグビー・ワールドカップ(W杯)も観戦した。7月には25歳の女性と結婚したばかり。令和元年最後の大一番を勝利で締めくくり「いい形で来年を迎えられる。年末年始は妻と自宅でのんびり過ごしたい」とはにかんだ。大阪市内で妻と2人暮らし。30歳。

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