踏み出す一歩CODE未来基金【3】保健師・立浪雅美さん

2019/12/20 11:00

地域に飛び出し、顔の見える関係づくりを目指す立浪雅美さん=尼崎市上坂部3、西正寺

 非政府組織(NGO)で働く若者の育成を目指し、神戸市兵庫区のNGO「CODE(コード)海外災害援助市民センター」が市民からの寄付を財源に創設した「CODE未来基金」。助成を受けた若者が体験やその後の活動を語るトークイベントが月1回、神戸市内で開かれている。22日にある第3回のテーマは「コミュニティナースが取り組む地域支援」。兵庫県尼崎市の保健師立浪雅美さん(35)が語る。(竹本拓也) 関連ニュース 神戸で4人死亡、42人感染 新型コロナ 40代男性、コロナで相次ぎ死亡 重篤な基礎疾患なし 神戸で新たに6人死亡、33人感染 新型コロナ

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 小学生の頃から国際協力や看護の分野に関心があったという立浪さん。兵庫県立大で災害に関する講義を受け、同基金を知った。卒業直前の2017年2月、9千人以上が亡くなったネパール地震(15年4月)で被災したグデル村でのフィールドワークに参加した。
 「患者さんの人数は?」「乳幼児健診はあるの?」。看護学部で学んだ経験もあり、村の診療を見学して医者に質問を重ねた。同行したCODEの吉椿雅道事務局長に報告すると「それにどれくらい意味があるの?」と返ってきた。
 「視野が狭かった」と立浪さん。出発前は被災者の暮らしを知ることを目標に掲げていたが、それを見失っていた。
 1人で村を回った。食材の野草を摘んでいた女性は家に招いて食事を振る舞ってくれた。村の医者は道で出会う人皆に声を掛け、畑の手伝いもしていた。
 卒業後、1年間の尼崎市役所勤務を経て、昨春から同市の地域包括支援センターで保健師として勤務。村での経験を「地域の中で保健師をするってこういうことかというヒントを得た」と振り返る。目指すのは病院などにとどまらず、まちの中で健康な暮らしを支える「コミュニティナース」だ。
 衣料品店で店員となり認知症高齢者を見つけたり、「地域を面白くしたい」と考えている人らのワークショップを開いたり。場やつながりを緩やかに構築する活動を考える。「コミュニティナース」として先駆的に活動する女性の講演会を寺院の本堂で開くと約60人が集まった。
 「周囲の人のちょっとした変化に気づける人が地域に増えれば地域が変わる」と立浪さん。「まだコミュニティナースの修業中。健康や病気予防という枠を越え、人と人が楽しくつながる仕掛けづくりを実践したい」
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 立浪さんが登壇するイベントは22日午後2~4時、神戸市中央区元町通4のこうべまちづくり会館で。資料代500円。当日参加も可能だが事前予約が望ましい。CODETEL078・578・7744

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