石綿禍早期発見へ新事業 環境省、検査精度向上に1・5億円

2019/12/21 10:15

 環境省はアスベスト(石綿)関連疾患の早期発見に向け、胸部エックス線検査の読影精度を高める体制整備に乗り出す。20日発表の2020年度予算案に撮影画像の収集や読影結果の照合などの事業費として1億5100万円を盛り込んだ。 関連ニュース 西宮で新たに11人感染 10~50代の男女 小学校教職員が感染 休校に 川西 三田のクラスター、新たに8人感染 認知症グループホーム

 同省は15年度から問診や胸部コンピューター断層撮影(CT)検査、胸部エックス線検査を無料で受けられる「試行調査」を実施。兵庫県内では神戸、尼崎、西宮、芦屋、加古川、宝塚市が対象だった。
 調査の結果、石綿救済法の対象となる疾患の多くが、エックス線検査で所見を確認することができた。有識者の検討会は今年3月、健診のエックス線検査を活用し疾患を見つける体制整備の重要性を報告。ただ、エックス線画像から関連疾患を読影できる専門医が少なく、その養成と精度向上が課題となっている。
 新事業では、国から委託された自治体が、健診などで受診者にエックス線検査を行い、読影。さらに同省が依頼した専門医が2次読影して結果を照合する。これらで得た知見を収集し、精度の向上を図るという。同省は参加する自治体を広く募る。
 胸膜プラークの所見があるなど石綿を吸ったことが推定される人には追加検査を実施。中皮腫や肺がんの早期発見に必要な検査方法を検証する。調査はいずれも5年間。
 石綿を巡っては、尼崎市が、関連疾患を読影できる医師の育成などを国に要望していた。(今福寛子)

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