防潮鉄扉閉鎖でトラック水没 保険会社が神戸市提訴
2019/12/24 22:09
神戸地裁=神戸市中央区橘通2
2018年8月の台風20号で、神戸市中央区の新港第4突堤にトラックが取り残されて水没したのは、神戸市が防潮鉄扉を閉める前に避難指示などを怠った過失が原因だとして、トラックの所有会社に保険金を支払った大手損害保険会社が、市に損害分の求償金約700万円の支払いを求める訴訟を神戸地裁に起こした。提訴は11月28日付。
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訴状によると、18年8月23日午後10時半ごろ、京都市の運送会社の従業員が防潮鉄扉の間を通って突堤内に入り、納品待ちのため車内で仮眠。その間に冠水が始まり、午後11時45分ごろに他の車のクラクションで気付いたが、鉄扉が閉まっていて脱出できなかった。翌日未明に救助されたが、トラックは水没した。
損保側は、鉄扉閉鎖には「突堤内で残された人や車両がいないかどうか確認の上、避難指示を行うべき注意義務がある」とし、市側の過失を主張する。
一方、神戸市は原告側の問い合わせに対する18年12月の回答で、当日昼から夜間の閉鎖予定を関係企業7社に伝え、午後11時25分ごろ、回転灯の点灯や警報音とともに閉鎖を始めたと説明。「風雨が強まる時間帯に突堤内に車両が進入し、冠水後も退避しないという危険な行動を想定するのは困難」などとしていた。
訴状で損保側は、関係企業以外の人の立ち入りは可能で「閉鎖を知らない者が取り残されることは予見可能」としている。当時、現場付近では少なくとも車両約20台が水没し、6人が救助された。