拉致被害者の有本さん60歳に 家族が健康気遣う

2020/01/12 19:21

有本恵子さんの還暦を祝う父明弘さん=12日午後、神戸市長田区

 神戸市出身で、北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さん=失踪当時(23)=が12日、60歳の誕生日を迎えた。神戸市長田区の自宅では、家族が還暦を迎えた恵子さんの健康状態などを気遣い、膠着したままの拉致問題の前進を望んだ。 関連ニュース 北朝鮮に潜入、故金正日氏と面会 映画化の元韓国工作員が証言 「夢や絆を奪われた」拉致被害者、蓮池さん 語呂合わせ「3310」は何と読む?

 いつも恵子さんが座っていた食卓の席には、ケーキなどが用意され、6本のろうそくが添えられた。恵子さんの姉尚子さん(61)は「妹は青春時代から還暦まで、あの国で過ごしたことになる。食べるものも少なく、寒さも厳しいのでは」と思いやった。
 ロンドン留学を終えて欧州を旅行中に拉致された恵子さんの早期救出を訴え続けてきた両親も、高齢で健康に不安を抱える。
 毎年一緒にお祝いしてきた母嘉代子さん(94)は年明けから体調が優れず、入院している。父明弘さん(91)は「核問題を巡る米朝交渉は行き詰まった。安倍首相がトランプ大統領に話をした上で、早く訪朝してもらいたい」と語気を強めた。(段 貴則)

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