加古川・井上門下から2人目 菅井、A級棋士に
2020/01/31 09:01
順位戦B級1組11回戦に勝利し、来期からはA級で戦う菅井竜也八段=関西将棋会館
将棋の第78期順位戦B級1組11回戦に勝利し、初のA級昇級と昇段を決めた菅井竜也八段(対局時は七段)。2017年のB級1組昇級から3期目の今期は快進撃を見せ、プロ10年目で名人への挑戦権を争うA級に名を連ねることになり、「本当にうれしい」とかみしめるように語った。(溝田幸弘)
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今期のB級1組は13人による総当たり戦で、上位2人が昇級し、下位2人が降級する。菅井は10回戦まで阿久津主税八段(兵庫県西宮市出身)に敗れただけの9勝1敗と首位を独走。11回戦は、勝てば自身の最終戦前にA級昇級が決まるが、対戦相手の斎藤慎太郎七段も7勝2敗で2位につけており、昇級を懸けて互いに譲れない一番だった。
後手番の菅井は三間飛車穴熊を採用。対する斎藤も居飛車穴熊に構えて相穴熊となった。中盤のじりじりとした主導権争いを経て、菅井は飛車を切り強引に先手の穴熊を崩しにかかる。斎藤も機を見て反撃を試みるが、菅井は油断なく自陣に手を入れて相手の攻めを寸断。午後11時26分、144手で斎藤が投了した。
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菅井は1992年生まれ、岡山市出身。井上慶太九段(兵庫県加古川市)門下で、2010年に17歳でプロ入り。15年に新人王戦で優勝、17年に初タイトルとなる王位を獲得している。
B級1組では17年度から戦う。1期目が5勝5敗、2期目は5勝7敗で終わり、「さすがにまずいと思った」と菅井。戦型などは変えなかったが「自分なりに危機感を持って臨んだ」。
「棋士になった17歳の時は、すぐにA級になるんだと思っていたけれども、そんなに甘くなかった。特にB級1組は本当に力が拮抗(きっこう)している。昇級も運が良かったところはあると思う」
井上門下では、稲葉陽八段に続き2人目のA級棋士。井上九段は「前期は前半に苦しい戦いが続いたけれど、後半4連勝でしのいだのが大きかった。今期は好調な滑り出しで、のびのびと菅井らしい将棋が指せるようになった」と話す。自身のA級在籍経験から「さらに厳しい場所になる。ただ、彼もよく分かっていると思うので」とさらなる活躍に期待を寄せた。
菅井は「上を目指していかないと厳しい戦いになる。一局一局頑張っていきたい」と力を込めた。