植村直己賞に岩本さん 全盲セーラー、無寄港太平洋横断

2020/02/12 18:33

受賞の喜びを語る岩本光弘さん=東京都千代田区

 兵庫県豊岡市日高町出身の世界的な冒険家植村直己さんにちなんだ「植村直己冒険賞」の発表が12日、植村さんの母校明治大学(東京都)であり、全盲のセーラーとして世界初の無寄港太平洋横断に成功した岩本光弘さん(53)が選ばれた。 関連ニュース 頭上も足元も 秋色鮮やか 植村直己冒険館のユリノキ並木 「グランピング」ってなに?キャンプと徹底比較 全長20m、高さ9mのジャンボすべり台 半世紀超の人気遊具 須磨離宮公園

 岩本さんは熊本県出身で米国在住。生まれつき弱視で高校生の時に視力を失い、35歳で妻に誘われヨットを始めた。
 昨年2月、風の向きなどを伝える健常者の米国人男性と組み、米サンディエゴを出港。10回以上も前線や低気圧に遭遇し、時には大きく逆戻りするなどの試練を乗り越え、4月に福島県いわき市の小名浜港に到着した。54日と3時間4分、航海距離は1万3千キロだった。
 東日本大震災の津波で傷ついた子どもたちに海の素晴らしさを伝えようと始まった挑戦。岩本さんは「若い人たちに諦めずにやりたいことをやり続ける大切さが伝われば」と語った。
 2013年には、キャスターの辛坊治郎さんとともに太平洋横断に挑戦したが漂流した経験がある。救助に関わった自衛隊や2度にわたる冒険を支えた関係者に「みなさんのおかげで夢を実現できた」と感謝した。(今福寛子)

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