中学生自殺で和解の遺族 東須磨小問題に「腹立たしい」

2020/02/25 23:15

神戸市役所=神戸市中央区

 神戸市垂水区で2016年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、同市は25日、遺族に解決金2025万円を支払うとともに、いじめ防止に向け、この問題を再調査した委員会の提言実現に市が努力する条件で和解を決めた。だが、昨年4月の提言公表後、市立東須磨小学校(同市須磨区)で教員間の暴力や暴行が続いていたことが発覚。生徒の母親は、取材に「教訓が浸透しておらず、生かされてもいない。率直に言って悲しい」と心境を明かした。 関連ニュース 神戸垂水・中3女子自殺和解へ 神戸市会、全会一致で可決 「自殺思いとどまった」YouTubeで法話配信 大きな反響 ジム通いのパワフル71歳男性、飛び降り自殺図った男性を引き上げる

 市会で同日、訴訟を経ず和解する議案が全会一致で可決された。
 自殺直後に市教育委員会が設置した第三者委員会は、いじめと自殺の直接の因果関係を認めず、遺族が再調査を要求。生徒の同級生らがいじめを証言したメモを、市教委の首席指導主事が隠蔽するよう前校長に指示していたことも発覚した。
 市が設けた再調査委員会は昨年4月、いじめが自殺の大きな要因とする報告書を策定。校内の小さなトラブルにも気を配ることや教員がチームで対応する重要性、開かれた学校づくりなどの防止策も提言した。
 生徒の母親は、東須磨小の問題について「いじめを防ぐ立場の教員がいじめていた上、提言の後も続けていた。加害教員には(提言が)まるで人ごとのように捉えられ、腹立たしい」と憤る。和解条件には「学校現場からいじめで苦しむ子どもがいなくなることが願い。私たちの問題の教訓がその一助になってほしい」と期待を込めた。(井上 駿、石沢菜々子)

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