総合 総合 sougou

  • 印刷
「困っている子どもは今もたくさんいる。家庭に入り、支援できる仕組みが必要」と話す蔭山正子准教授=大阪府吹田市山田丘1、大阪大学
拡大
「困っている子どもは今もたくさんいる。家庭に入り、支援できる仕組みが必要」と話す蔭山正子准教授=大阪府吹田市山田丘1、大阪大学

 「私たちの親はビョーキです!」。うつ病や、統合失調症など、精神疾患のある親に育てられた子どもたちの声が聞こえてきた-。病気といえども、自分たちにとってはかけがえのない親。戸惑いながら育ってきた境遇を分かち合うグループ「こどもぴあ」を発足させ、それぞれの体験や研究者を交えた座談会などでつづる著書「静かなる変革者たち」(ペンコム)を発刊した。執筆者の一人、大阪大大学院の蔭山正子准教授に話を聞いた。(鈴木久仁子)

 蔭山准教授によると、精神疾患は統計上増え続けている。背景には「医療の進歩による軽症化や、駅前の心療内科で気軽に受診できるようになったことなどで表面化しやすくなった」ことがあるという。

 「『長期入院よりも地域で』という行政の施策」もあり、家庭を築く患者もいる。しかし、その子どもは成長の過程で親の病状の変化や言動が「病気のせいであることを理解できず、不安や孤独感を抱えてしまうことが多い。最近になってようやく、漫画や論文などから、日本でも注目されてきた」と話す。

 本著に体験を語る4人はいずれもこどもぴあのメンバー。2018年に設立され、20代を中心に60代まで幅広い年齢層が交流を重ねる。親の疾患は統合失調症、うつ病、双極性障害(そううつ病)、アルコール依存症などさまざまだ。

 設立に携わった埼玉県立大の横山恵子教授は本著の中で「子どもの経験は共通していて仲間として話し合いができる」と語る。

 精神保健福祉士になったグループ代表の坂本拓さんは中学生のときに、母親がうつ病とパニック障害を発症。どんどん体調が悪くなっていく姿に戸惑い、「僕が原因なのでは」と悩んだり、「母を支えるのが役割。自分が犠牲になればいい」とむなしさを抱えるようになったりした。

 しかし、坂本さんは、自分の気持ちを受け止めて「自由な人生を歩んで」と言ってくれた母親に「心の底から感謝している」とつづる。「家族は家族であり、(客観的な視点を持った)支援者にはなれない」という言葉に、ほかのメンバーも共感する。

 第2章は座談会をまとめており、メンバーに加え、横山教授、蔭山准教授も参加。「自分のことより、家事が優先だった子ども時代」のこと、「精神疾患に対するイメージや誤解で傷ついた」経験などのほか、大人になって親を理解し、絆が深まっていく心境のような補足の解説なども交え、丁寧に描かれている。

 蔭山准教授は「グループができたことで、ようやく共感できる仲間がつながれるようになった。家族への支援も必要であり、どんな支援をしてほしかったかを伝えていく段階にある」と強調。「特に、学校関係者には、こんな思いの子どもがいると周知したい」と力を込める。

 こどもぴあホームページ(https://kodomoftf.amebaownd.com/)

総合の最新
もっと見る
 

天気(5月22日)

  • 25℃
  • ---℃
  • 20%

  • 27℃
  • ---℃
  • 20%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 28℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ