450万円かけ搭乗できる紫電改のコックピット再現へ
2020/03/08 08:40
紫電改の実物大模型の操縦席。新たな模型もこれと同様に、計器類などを精密に再現するという=加西市鶉野町(撮影・笠原次郎)
太平洋戦争末期、旧日本海軍の最後の切り札とされた戦闘機「紫電改」の実物大模型を鶉野(うずらの)飛行場跡(兵庫県加西市鶉野町)で公開する加西市が、新たに操縦席部分のみを再現した模型を作る。今夏の完成を目指し、操縦席に座りたいという見学者の要望に応えて、安全に“搭乗体験”できるようにする。
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紫電改は川西航空機(現・新明和工業)が製造し、鶉野工場でも組み立てていた。実物大模型は平和学習や観光に役立てようと、加西市が細部まで再現。昨年6月から原則第1、3日曜に公開している。
公開後、会員制交流サイト(SNS)などに写真を載せようと、子ども連れや航空ファンから「操縦席に入りたい」という要望が多く出た。しかし、胴体を登って乗り込む形になるため安全面から難しかったという。
そこで、操縦席部分のみの実物大模型を作ることに。風の影響を防ぐ「風防」や計器類、外板も含め、現在の実物大模型と同様に再現。財源にふるさと納税を充て、2019年度補正予算案に関連費450万円を盛り込んだ。
加西市が同飛行場跡地で整備する地域活性化拠点施設が22年4月にオープンすれば、実物大模型と共に同施設内に移す。市鶉野未来課は「見学したことがある人にも、もう一度来てもらいたい」と期待している。(森 信弘)