「休園できない」保育園動揺 認定こども園で相次ぐ感染

2020/03/15 05:30

感染を防ぐため、空気がこもらない外で遊ぶ機会が増えた子どもたち=神戸市垂水区南多聞台4、認定こども園「多夢の森」

 神戸市東灘区の認定こども園に勤める保育士ら8人が相次いで新型コロナウイルスに感染し、保育施設関係者や子どもを預ける保護者の間に動揺と緊張が広がっている。同市はできる限り家庭での保育を要請しているが、保育園などを利用せざるを得ない共働き家庭は多い。保育団体役員は「休園はできない。保護者と職員ができることを徹底するしかない」と気を引き締める。 関連ニュース 認定こども園「クラスター発生の可能性濃厚」 消毒用アルコールがないときは 医科大の主任教授がアドバイス 死亡の施設から受け入れ拒否も ケアマネ「介護崩壊」懸念 新型コロナ

 同市東灘区の「聖ニコラス天使園」で、最初に50代女性保育士の感染が分かったのは今月9日。同園は翌10日から2週間の休園に入ったが、11日以降、同僚の20~60代の職員5人と家族ら2人に新型コロナウイルスの感染が発表された。
 同区の園に子どもを通わせる保護者からは「人ごとじゃない」と声が上がる。別の認定こども園に長女(5)を預ける女性会社員(32)は「保育園では子ども同士や先生との接触はどうしても密になる」と心配し、新たな感染情報に神経をとがらせる。
 同市須磨区の保育所に次女(5)を預ける介護士の女性(32)は「夫も介護職で、いろんな人と関わる。自分自身が感染源になってしまう怖さがある」とこぼす。小学校に通う長女(9)と長男(7)は休校中で、次女だけが保育所に通う。「次女も私もリスクはあるけど、働かないと生活できないので」と迷いもある。
 施設側も換気や消毒などを徹底している。同市垂水区の認定こども園「多夢の森」は、在宅保育の呼び掛けを受け、園児の2割弱が休み、自宅で過ごす。主幹保育教諭の女性(37)は「保護者の協力のおかげで、子どもが密集しすぎないように対策が取れている」と感謝する。
 1時間に1回は窓を開けて換気し、園庭で遊ぶ機会を意識して増やしている。手すりの消毒は1日2回、おもちゃも夜間に消毒する。主幹保育教諭の女性は「中止になった行事の分も、子どもたちが安全に楽しめるようにサポートしたい」とする。
 神戸市私立幼稚園連盟の三木治郎理事長によると、市内の私立幼稚園・認定こども園では、市が家庭保育を要請した後も毎日約3500~4千人の子どもを保育しているという。三木さんは「子どもも親も、発熱や体調がすぐれない場合は無理をせず自宅で様子をみてほしい」と呼び掛けている。(佐藤健介、西竹唯太朗、上杉順子)
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