休校延長か再開か、県内割れた判断 “横並び”に疑問も

2020/03/18 09:39

席の間隔を従来よりも空け、マスクを着用して授業を受ける児童たち=明石市大明石町2、大観小(撮影・川崎恵莉子)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた学校の臨時休校を巡り、兵庫県内の自治体では、休校を延長するか再開するか判断が分かれた。神戸市など多くの自治体が23日まで延長するという県の方針に従う一方、明石市や豊岡市など5市町は再開を決定。休校が続く学校現場からは「国や県の意見に従うしかないのか」と、“横並び”への疑問も上がる。 関連ニュース 「休園できない」保育園動揺 認定こども園で相次ぐ感染 兵庫県内で唯一、休校措置取らなかった小野市 感染者確認で休校決断 死亡の施設から受け入れ拒否も ケアマネ「介護崩壊」懸念 新型コロナ

 臨時休校は3~15日の予定だったが、県内での感染拡大を受け、県は県立学校計176校の休校を23日まで延長すると発表。市町にも同様の措置を求めた。
 県教育委員会の担当者は「クラスター(感染者の集団)をつくらないことが第一の目的。症状が出なくても、高齢者にうつすなど二次感染の恐れもある」と説明。対応が分かれた点について「学校設置者が決めることなので仕方ない」とした。
 再開を決めたのは、明石、豊岡、養父市と香美、新温泉町。いずれも16日時点で感染者は確認されていない。
 明石市では16日、幼稚園、小中高の70校園が再開した。泉房穂市長は「市民の健康と負担軽減の両方に目配りする責任がある」と強調。保健所とも協議を重ね、学校は「感染者が多く出た密閉された狭い空間に当たらない」と判断した。
 3人の子どもを持つパートの女性(36)は休校中、夫と勤務時間を調整して対応してきた。学校再開を「学校のありがたみが分かった」と歓迎する。各校では掃除をなくし、当面授業での合唱や音読を見合わせるなどの予防策に取り組む。
 一方で、同市教委は「感染が心配な人は休んでも欠席扱いにしない」と通知し、16日には約3%の658人がこの欠席を選んだ。市には再開への苦情も数件寄せられたという。
 同様に学校を再開させた香美町教委の担当者は「子どものストレスや働く親への影響を考慮した」と説明する。小中学校の修了式を3日遅らせ、春休みを短縮することで授業日数を確保する。
 だが、感染者が出ていなくても、休校を続ける自治体も多い。
 佐用町は24日まで休校を延長する。町内や隣接する自治体に感染者は出ていないが、同町教委の担当者は「感染力も強く、近くに陽性患者がいないから安全とは言いきれない」と強調。「発症者が出てからでは遅い」と警戒を続ける。
 休校を続ける西播磨の別の市幹部も「拡大阻止へ正念場と言われる今、足並みを乱すわけにはいかない」と説明。再開後に感染者が出て休校に戻った自治体もあることから、「方針転換は混乱を広げる」との見方を示した。
 神戸市内の小学校で働く男性教師(42)は「感染状況や学校規模などが異なるので、各自治体で柔軟に対応した方がいい気がする。このままでは新学期からも再開できないのでは」とこぼしていた。
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