兵庫県内で確認された新型コロナウイルスの感染で、31日までに亡くなった11人は、全て70~80代の高齢者だったことが神戸新聞社のまとめで分かった。3月1日に県内で初めて感染者が確認されてから1カ月。発症時は軽症でも、急速に重篤になって死亡するケースがあり、県は高齢者や持病がある人を中心に重症化の予防に力を注ぐ。(藤井伸哉)
県内で3月31日までに感染が分かったのは148人。そのうち11人が死亡し、重症は6人。同日午前0時までに40人が退院した。
県内初の感染確認は、西宮市の40代男性会社員。当初は、大阪市のライブハウスを訪れた人とその同居者の感染が目立った。だが、同7日に伊丹市の介護施設「グリーンアルス伊丹」でデイケアを利用する80代女性の陽性が判明すると、同施設の利用者や職員らの感染が急増。検査の結果、これまでの検査で関係者51人の陽性が分かった。
これ以外にも、感染者集団「クラスター」が連続して発生。医師らが感染した小野、宝塚市の病院や、神戸市東灘区の認定こども園も集団感染の場となった。県はこれらの施設で大半の関係者の検査を終了。担当者は「クラスターの封じ込めは最低限できた」と話す。
感染者の居住地をみると、阪神・北摂地域が6割を占め、但馬、西播磨地域の患者はゼロ。年代別では、60代以上が半数を占めた。
兵庫県では感染経路が分からない患者は調査中を含めて十数人だが、東京を中心とした首都圏や大阪では経路不明の患者が急増し、海外からの帰国者にもウイルス感染が広がっている。
県は感染経路が分からない爆発的な患者増に危機感を抱き、感染症対策を施した病床を当初の54床から246床に拡大。症状の程度に応じて入院先を割り振るセンターも新設して備えを強化する。井戸敏三知事は会見で「重症化しやすい高齢者や持病のある人に的確な治療ができる態勢を整える」と述べた。
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