週末の県内観光地閑散「阪神・淡路以上の危機だ」
2020/04/11 20:42
人通りがまばらな北野異人館街=11日午後、神戸市中央区北野町2(撮影・吉田敦史)
新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が発令されて初の週末を迎えた11日、兵庫県内の観光地は人通りがまばらで、多くの店が休業した。先週まで、感染地域を離れて楽しもうとする「コロナ疎開」でにぎわっていた但馬も閑散。春の陽気に恵まれ、街中では巣ごもりでたまったストレス発散か、散歩する姿もちらほら見られた。(井上 駿、竜門和諒、井沢泰斗)
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神戸・北野異人館街では16館がすべて臨時休館。人影はほとんどなかった。
「午後5時までに客は3人だけ。阪神・淡路大震災以上の危機だ」。北野観光協議会会長で土産物店「チップリップ」を経営する高田良介さん(80)は嘆く。
高田さんによると、協議会に所属する約30店のうち、この日営業したのは5店。高田さんは「個人商店が多く、長期休業に耐える体力がない。補償がないと大型連休明けまで持たない」と苦渋の表情を浮かべた。
散歩をしていた近くの男性は「慣れないテレワークで疲れた。外に出てみたが誰もいない」と驚いていた。
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例年は花見シーズンでにぎわう世界文化遺産・国宝姫路城。3月の入城者数は前年同期で8割以上の減少で、4月に入ってからは2桁台の日もあった。9日から有料エリア全体の入城を休止したこともあり、この日も観光客の姿はほとんどなかった。
一方で“自粛疲れ”か頻繁に見られたのは、三の丸広場の周囲を散歩する市民の姿。妻と訪れた姫路市の男性会社員(46)は「平日もずっと在宅勤務だったので、今日は気晴らしに」と笑顔を見せた。
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感染者が出ていない但馬。4月初旬は桜の見頃とあって、都市部から大勢の観光客が訪れたがこの日は一変し、静かな週末となった。
城下町の風情あふれる豊岡市出石町。普段の週末は満杯になる中心街の駐車場に空きが目立った。但馬國出石観光協会は「例年の1割程度の人出」という。
出石皿そば協同組合の理事長で「正覚 田中屋」の店主田中覚さん(51)は「時間を短縮して営業している。来てくださいとも言いにくい」と困惑する。
養父市の「樽見の大桜」には3~5日、約8千人が訪れた。同市は8日、市独自の「非常事態宣言」を発表、来訪を自粛するよう呼び掛けた。
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