暴力団も「不要不急」会合自粛 幹部の感染警戒
2020/04/19 06:00
組員や警察官、報道陣が集まった神戸山口組の会合前の様子。現在、会合は見送られているという=2019年12月、神戸市西区
新型コロナウイルスの感染拡大で、不要不急の集会が自粛される中、定期的な会合を重んじてきた暴力団でも幹部らが参集を避ける動きが出ている。抗争事件を重ねてきた特定抗争指定暴力団の山口組(神戸市灘区)と神戸山口組(同市中央区)は3月以降、大半の会合を取りやめた。組員が高齢化する暴力団も感染予防に神経をとがらせ、社会活動の全般的な減少は資金獲得にも影響を与えそうだ。
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新型コロナは高齢感染者の重症化が伝えられ、組長や幹部らが高齢になっている多くの暴力団でも、感染は組織の運営に大打撃となる可能性がある。関係者は「警戒感はかなり強い。繁華街への外出や人との接触を控え、『事務所と自宅を行き来するだけの毎日』と話す組員もいる」と話す。
山口組と神戸山口組は1月に特定抗争指定暴力団に指定され、神戸や尼崎など6府県10市の「警戒区域」内で事務所使用を禁じられた。両組織は警戒区域外で会合を続けていたが、国内で感染が拡大した3月から、組員同士の接触を避けるため、会合を見送り始めたという。
捜査関係者によると、神戸山口組は関西で予定していた3月と4月8日の会合を中止。幹部が傘下組織を直接回って上納金を集めているという。山口組も3月中旬まではマスク姿の組員が事務所に集まっていたが、下旬には全国の傘下組織に原則中止が伝えられた。
兵庫県警のある捜査員は「会合は暴力団が統制を保つ上で重要。特定抗争指定と感染拡大による活動自粛は、じわじわとダメージになるだろう」とみる。
政府の緊急事態宣言で、広く繁華街などへの外出自粛が求められたことも、暴力団が獲得する資金に打撃となりそうだ。別の捜査員は「あいさつ料(みかじめ料)を資金源にしている末端組員は金に困るだろう」と指摘している。
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