兵庫とのゆかりも深い NHK朝ドラ「エール」

2020/04/28 14:34

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 今春から始まったNHK連続テレビ小説「エール」(総合、月~土曜午前8時、9月26日まで予定)は、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏(1909~89年)がモデルだ。通称「六甲おろし」で親しまれる阪神タイガースの球団歌、全国高校野球選手権の大会歌「栄冠は君に輝く」の作曲で知られ、兵庫とのゆかりも深い。(金井恒幸) 関連ニュース コロナ禍にエール 桂文福さん一座がお笑いライブ 「長崎の鐘」 論説委員・奥原大樹 明石商、守備の乱れ重なり東洋大姫路に大敗 指揮官「夏に向けて切り替え」 春季県大会

 古関氏は、大正から昭和にかけて日本の西洋音楽導入に貢献した明石出身の作曲家・菅原明朗氏(1897~1988年)にも師事。早稲田大学の「紺碧(こんぺき)の空」や読売巨人軍の「闘魂こめて」など勇ましい応援歌を残した。戦後はラジオドラマ「君の名は」「鐘の鳴る丘」のテーマ、「長崎の鐘」「イヨマンテの夜」など大衆音楽も支持された。妻は歌手の金子(きんこ)氏。夫婦で活躍した。
 ドラマ「エール」は明治42年、福島の老舗呉服屋に古関氏がモデルの古山裕一(窪田正孝)が生まれるところから始まる。裕一は父の三郎が買ってきた蓄音機の音色に心を奪われる。担任の教師との出会いで音楽に目覚め、独学で作曲の才能を開花。やがて海外の作曲コンクールに上位入賞。歌手を目指す関内音(二階堂ふみ)と知り合い結婚し、ともに音楽の道を志し上京する。
 昨年は生誕110周年の節目。故郷の福島民報社は「あなたが選ぶ古関メロディーベスト30」を昨年12月から募集した。約5千曲あるうち110に候補を絞り、全国から約1万7千票の応募があった。1位は「高原列車は行く」、2位は「栄冠は君に輝く」だった。「六甲おろし」は6位で、兵庫ゆかりの2曲は全国的にも根強い人気を示した。
 県内では昨年8月、古関氏の楽曲を演奏するコンサートが甲子園球場のある西宮市で開かれた。また2018年には、夏の全国高校野球選手権大会が100回を迎えたのにあわせ、大会歌の作詞者にスポットを当てた映画「ああ栄冠は君に輝く」が神戸市内などで上映され、脚光を浴びた。
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 「エール」の出演者にも兵庫ゆかりの俳優がいる。心優しく気弱で、いじめられがちな裕一の少年時代を演じるのが石田星空(せら)。その他、裕一が就職する川俣銀行の行員・鈴木廉平役の松尾諭、音が学ぶ音楽学校の同級生役の小南満佑子らも兵庫県出身。そんな中、存在感を示すのが、裕一が東京で出会うレコード会社のディレクター・廿日市誉役の古田新太だろう。
 俳優陣に加え、今後、挿入歌にどんな作品が登場するか。兵庫の視聴者を多彩に楽しませるドラマだ。

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