安全なのはドア付近?座席側? スパコンで解析中

2020/05/29 14:50

神戸新聞NEXT

 電車内ではどこにいるのが最も安全なのか。神戸・ポートアイランドに整備中のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を使い、そんな研究が進行中だ。 関連ニュース コロナ禍の通勤電車 リスクの少ない乗り方は? スパコン「富岳」新型コロナの経済打撃予測 100万社分のデータなどで試算 「手に触れる物はすべて汚染している」 ドアノブの危険性指摘

 理化学研究所計算科学研究センターの坪倉誠チームリーダー(神戸大教授)らが中心になり、大阪大や大手ゼネコンの鹿島などが連携。窓を開けた時の気流の変化や、マスクの効果などさまざまな条件を設定し、通勤電車などでせきやくしゃみの飛沫(ひまつ)が広がる経路をシミュレーションしている。「ポストコロナ時代」に向けた提言が目標だ。
 メンバーの一人で京都工芸繊維大学の山川勝史准教授(計算流体工学)は2013年に、インフルエンザ患者が密閉された通勤電車内でせきをした場合のウイルスの飛散状況を計算。満員電車の車両ドア付近と、真ん中の座席付近を比較した結果、人が密集するドア付近の方が感染する割合が高かった。
 山川准教授は「インフルエンザと新型コロナはウイルスの重さが異なる上、今は車内が満員になることがない。当時の研究結果はそのまま転用できない」とくぎを刺すが、「富岳での研究は、計算量が前回の最大数千倍。より現実的な研究結果を近いうちに示せるはず」と話す。
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