「死ぬしかない」新型コロナでの自殺予防相談が急増 2カ月で5倍
2020/06/12 05:30
神戸新聞NEXT
「兵庫県いのちと心のサポートダイヤル」など、兵庫県内の自殺予防の電話相談窓口で、新型コロナウイルスに関する相談の受け付けが増えていることが分かった。感染が拡大した4月に同ダイヤルが受けた相談は320件を超え、2月に比べて5倍以上に増加。外出の自粛を強いられ、人との関係が希薄となる閉塞(へいそく)感や経済苦などが訴えられ、「死ぬしかない」というSOSも寄せられている。(杉山雅崇)
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兵庫県いのち対策室によると、サポートダイヤルは1カ月に2千件前後の相談を受けている。今年は新型コロナに関連した相談が増え、2月は62件だったが、感染が広がるにつれ3月には153件、4月は321件と急増した。
一方、神戸市の「自殺予防と心の健康電話相談」もコロナに関する相談が続く。2月は4件と全体の2%ほどだったが、4、5月はそれぞれ約2割を占める50件、60件となった。
相談内容をみると、収入の激減や勤め先の新型コロナ対策での心労などが打ち明けられ、外出自粛で一転した生活の不安と、ウイルスへの恐怖などがにじむ。臨時休校中に自宅にいる子どもの世話で精神的に追い詰められる娘を心配し、「どうすればいいか」と尋ねる女性もいた。
また「人と自由に会えないのでつらい」「コロナの報道ばかりで、だんだん心が弱る」といった相談のほか「店を廃業した。貯金を切り崩しているが、このままでは死ぬしかない」と切実な訴えがあった。神戸市の担当者は「当初は漠然とした悩みが多かったが、時を経るごとに失業など、具体的になっている」と語る。
こうした新型コロナがもたらした実情を、自殺予防活動に取り組む「ゲートキーパー支援センター」(伊丹市)の竹内志津香さんも危惧する。「自粛と、深刻な事態を伝える報道の連続で、心理的な影響を受けている。カウンセリングなどで一度立ち直った人がコロナでメンタルを悪化させる恐れがある」と指摘する。
その上で「緊急事態宣言は解除されたが、時間が経過してから心の健康を害する人が出てくる可能性は高い」とも訴える。兵庫県いのちと心のサポートダイヤルTEL078・382・3566、神戸市の「自殺予防と心の健康電話相談」TEL078・371・1855
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