苦労人か、次代を担う高校生か 注目の将棋王位戦

2020/06/24 07:00

永瀬拓矢二冠に勝利し、笑顔で会見する藤井聡太七段=東京都渋谷区の将棋会館(撮影・三好信也)

 将棋界の最年少記録を次々と塗り替えてきた最年少棋士、藤井聡太七段(17)が、ついに2日制の7番勝負に初登場する。23日に王位戦挑戦の最年少記録もつくった高校生棋士は、ダブルタイトル挑戦と勢いに乗る。迎え撃つ木村一基王位(47)は昨年、46歳3カ月で王位を奪取し、初タイトル獲得最年長記録を更新したベテラン。30歳差の2人が繰り広げる激闘は、夏をさらに熱く盛り上げそうだ。 関連ニュース 「ひふみん」こと加藤一二三さん「私は天才、藤井七段は秀才」 「もう職場には戻らない」8百億円大当たり女性が喜びの声 海外生活ゼロの中1がTOEIC980点

 藤井七段は今月4日、棋聖戦挑戦者決定戦で今回と同じく永瀬拓矢二冠(27)を破り、タイトル挑戦の最年少記録を30年ぶりに更新。渡辺明棋聖(36)との5番勝負第1局も制し、最年少タイトル獲得へ期待を集める。
 木村王位は昨年、当時の豊島将之王位(現竜王・名人)をフルセットの末に破り、7回目のタイトル挑戦で悲願を達成し、「中高年の星」としてファンに喜ばれた。現在の最年長タイトル保持者でもあり、本年度は公式戦3戦全勝と好調を維持する。
 「苦労人の木村王位と、次代を担う藤井七段の激突」-。元「週刊将棋」編集長で、大阪商業大アミューズメント産業研究所主任研究員の古作登さん(57)は7番勝負をこう表現する。
 「木村王位は勝負にはシビアだが、情に厚く気遣いが細やか。藤井七段は大変できた若者で、泰然自若としたところなど独特のオーラは羽生善治九段に通じる」。2人の将棋については「藤井七段は最先端で指し手が合理的。木村王位も最近はAIを使った研究で洗練されてきた」と評する。
 全国を転戦し、1局を2日かけて戦う7番勝負。「(藤井七段は初めての経験だが)パフォーマンスを落とすことはないだろう」とみる。「一般的にタイトル戦は(勢いのある)挑戦者に分があるとされ、今回も藤井七段が有利と思われる。でも、木村王位も防衛戦のつもりでは臨まないでしょう」。7月1、2日の第1局から激戦は必至だ。(溝田幸弘)

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