神戸市がコロナ対応を検証 保健所「個人的犠牲で業務回る」
2020/07/08 06:30
国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真像(同研究所提供)
神戸市は7日、6月初旬までの新型コロナウイルス感染症対策について、庁内での検証結果をまとめた報告書を公表した。保健所の対応を巡っては「保健師らの個人的犠牲の上でぎりぎり業務が回る状況」と表現し、学校休校の目まぐるしい方針変更に伴う混乱も記述。事前準備の不十分さや情報提供の在り方など、多岐にわたる課題が浮き彫りになっている。(石沢菜々子)
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寺崎秀俊副市長を筆頭に、各部局の副局長ら16人の検証チームが、1月30日~6月5日の対応を振り返った。対象は、医療体制▽報道対応と広報▽学校園▽社会福祉施設▽各種支援策▽物資備蓄-など業務をほぼ網羅している。
「激務・過重労働が発生した」と書かれているのは保健所。「上司から『なるべく休むように』などと抽象的な呼び掛けはしていたが、組織として負担軽減策を講じるべきだった」と指摘した。
PCR検査については「諸外国で膨大な量の検査をしていると報道されたことも影響し、過剰とも言える期待が高まった」とし、「『どうしてPCR検査をしてくれないのか』という苦情もあり、納得していただくことが難しい状況だった」と振り返った。
患者情報の公表では、市民への注意喚起と個人への風評被害のはざまで苦慮した様子も記される。「感染そのものをバッシングするかのような風潮が広がり、『公表されたくない』との理由で、(患者から)正確な情報を提供していただけない事例もあった」という。
また、安倍晋三首相が2月27日に、学校園の臨時休校を要請した際には、保護者や企業から「休校の決定が急すぎる」と困惑が広がり、学童保育の手当てや卒業式などの調整に奔走。児童生徒や保護者、学校現場に混乱をもたらした。
4月になって、分散登校の中止を要請した久元喜造市長がツイッターに投稿したことなども「現場で混乱が生じたことは事実であり、情報提供や共有で反省すべき」としている。
報告書は253ページで、市のホームページに掲載。市は「広くご意見やご批判をいただきたい」としている。
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