げんこつや平手打ち…過去6年間で体罰55件62人が被害 尼崎市立の小中学校
2020/07/13 21:09
尼崎市役所=尼崎市東七松町1
 兵庫県尼崎市教育委員会は13日、全市立学校園の児童や生徒、教職員、保護者を対象とする体罰実態調査で、過去6年間に市立小中学校で55件の体罰を確認したと発表した。児童や生徒62人に被害があり、3人がすり傷などの軽傷。地方公務員法による処分相当と判断した教員6人による19件については県教委に上申する。
          
            関連ニュース
            
              「忘れ物を軽くみている」塾講師が生徒の首つかみ頭を壁に複数回ぶつける                        
              「姿勢が悪い」と授業中ライターで生徒の髪に火 中学教諭                        
              保育士が園児に馬乗り 嫌がらせし動画撮影も                        
 同市教委は、2019年5月に発覚した市立尼崎高校男子バレーボール部での体罰問題を受けて調査を開始し、13年4月以降で昨年春までの体罰の有無などをアンケートで尋ねた。小中学校で体罰を「受けた」「行った」「見聞きした」との回答は計1732件あり、記載内容を基に当事者らに聞き取りを実施。55件を体罰と認定した。
 体罰の内容は、集合時間に遅刻したため、顔を平手でたたいた▽宿題を出さないことが続いたため、げんこつをした▽教室から移動させる際、耳を引っ張った-など。該当する教員は37人で、1人で11件の体罰をしたケースもあった。
 一方、1732件の回答のうち約800件は「当事者の名前が分からない」などの理由で確認が取れなかった。聞き取りの結果、約400件は「体罰ではない」と判断。教員の退職などで調査ができなかった回答が約200件あった。
 今後は市独自のガイドライン作成や教員研修などを進める。稲村和美市長は体罰件数を「非常に多い」とし「膿を出し切るとの決意で取り組んできた。実のある制度や仕組みをつくっていく」とした。(大田将之)