氾濫、整備…河川と歩んだ80年 兵庫県が冊子発行
2020/07/23 09:00
兵庫県が発行した冊子「ひょうご水百景」
兵庫県河川整備課はこのほど、県内の河川に関連する地域の歴史・文化をまとめた冊子「ひょうご水百景」を発行した。同課の前身にあたる兵庫県河川課が設置されて昨年で80年となったことを記念して冊子の制作を企画。元職員で、県土整備部参事(武庫川対策担当)を務めるなど、長く河川に関わる仕事に携わってきた松本幸男さん(70)が執筆した。(杉山雅崇)
松本さんは退職後、趣味の写真を生かして県内を巡り、河川の歴史的なエピソードなどをまとめた。2011年6月から月1回のペースで、県がリーフレットとして発行。昨年9月に100号を達成した。今回の冊子には、108点が収められている。
阪神間を流れる武庫川については、かつては「暴れ川」と呼ばれ氾濫を繰り返したが、大正期の改修工事で川幅の拡張などが行われたことで、1938(昭和13)年の阪神大水害では、流域が壊滅的な被害を免れたなどと紹介した。
また、県北部の円山川周辺で大正時代に、上水道の整備に尽力した豊岡市出身の実業家・中江種造(たねぞう)の足跡も紹介。当時の町長の求めに応じ、工事費用の全額を寄付したことで、現在も地元で敬愛されている中江の功績を記している。
ほかにも、伊丹の日本酒の水運を支えた猪名川や、神戸の旧外国人居留地を洪水から守るために付け替えられた生田川、兵庫県多可町名産の杉原紙を生んだ杉原川などを紹介。
松本さんは「私の幼少期の川は汚かったが、上下水道が整備されていくにつれてきれいになった。この冊子を読んで、美しい川を保つことの大切さを知ってもらえれば」と話している。
A4判434ページ。各県民局、県内市町の図書館などに配布。送料着払いで無料で配布する。先着順。県河川整備課TEL078・362・3527