兵庫のインフラ老朽化対策 10年で2233億円 県が試算

2020/08/18 06:30

兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5

 兵庫県が今春に改定した社会インフラの修繕計画「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」で、2028年度までの10年間に施設の修繕費などで総額2233億円がかかるとする試算が公表された。県は耐用年数に合わせて一律に建て替えるより、小まめに施設を修繕して長寿命化する方が3~4割、事業費を圧縮できるとし、定期的な点検や新工法の導入などを進めている。(前川茂之)


 県が管轄するトンネルや水門などインフラ施設は、高度経済成長期に建てられたものが多い。橋りょうの耐用年数は50年、排水機場は30年とされており、水門やせきなどは約20年後の39年に全体の91%が耐用年数を超える。
 このため、県は13年度に主要インフラの維持管理状況や更新計画などをまとめた10カ年計画を策定。18年度に初めて計画の見直しに着手し、22種類の施設で早期修繕による長寿命化を目指すとした。
 今春の改定ではさらに、線路などの下に道路などとして埋め込む「カルバート」、港湾のクレーンなど、老朽化が目立つ4種類の施設を計画の対象に追加。総事業費は46億円分の増額となった。
 計画では、橋やトンネルなどは5年ごと、排水機場や水門などの機械設備は毎年点検することを規定。「早期対策」「要観察」など4段階の指標で評価し、優先順位を決める。
 点検結果や補修履歴は県が全国で初めて導入したという「社会基盤施設総合管理システム」で一元管理し、劣化予測や事務の効率化、予算の平準化などのシミュレーションを行う。併せてロボットやドローンなど情報通信技術(ICT)・人工知能(AI)技術の活用を進めていくとしている。
 計画策定による事業費の削減効果について、県はピーク期の48年ごろで年間610億円の費用を370億円に抑えられると試算。63年までの50年間では、2兆6千億円を1兆8千億円に圧縮できるとした。県技術企画課は「戦略的に施設の維持管理をしていくことで工費の圧縮を図りながら、安全性を向上させていきたい」としている。

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