リアル演出“倍返し”に一役 ドラマ「半沢直樹」に自社製品
2020/08/21 16:00
ドラマ「半沢直樹」でスリリングな展開を演出した「重要物管理システム」=東京都千代田区、グローリー東京ショールーム(同社提供)
人気ドラマ「半沢直樹」をはじめ、銀行などを舞台にした作家池井戸潤さん原作のドラマで、重要な役割を果たしているメーカーが兵庫県にある。姫路市の貨幣処理機大手「グローリー」だ。金融機関向けの商品展開は業界屈指で、作品の随所に同社の製品が登場。視聴率20%超えの快進撃を続ける「半沢-」の今作前半でも、あるセキュリティー機器がスリリングな場面の演出に貢献した。(井沢泰斗)
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子会社の証券会社に出向した主人公・半沢が、企業買収を巡って親会社の巨大銀行と死闘を繰り広げた今作前半。銀行側の企てを半沢に伝えようと、元部下が上司のデスクの引き出しにある計画書を無断で写し取る場面があった。
そこで登場したのが、グローリー社製の「重要物管理システム」と呼ばれるロッカー。元部下はこの中から引き出しの鍵をひそかに取り出し、計画書の“入手”に成功した。
本来は通帳や証書、鍵などを保管するのに使われ、認証機能と操作パネルの上にある対人カメラで「いつ、誰が、何を」出し入れしたかも記録できるハイテク機器だ。個人情報や現金を取り扱う金融機関のニーズに対応し、2009年に同社が業界で初めて開発した。
ドラマでは元部下の行為が発覚することはなかったが、グローリーの広報担当者は「実際にはカメラの映像などで証拠が残るので、“犯人”が特定される可能性はあります」と明かす。
同社は7年前に放送された前作でも、大量の現金を保管できる「オープン出納システム」や「小型入出金管理機」など4製品を提供し、半沢が勤める支店のセット作りに一役買った。
ほかにも、銀行を舞台に女優・杏さんが主演した「花咲舞が黙ってない」には7製品を提供。中小企業の奮闘を描いた「下町ロケット」では、人型ロボットが並ぶ埼玉工場(埼玉県加須市)がそのままロケ現場に使われ、池井戸作品の“常連”となっている。
ちなみに同社は毎回ホームページで撮影協力をPRしているが、「知っているのは社員と取引先くらいでしょうか」と広報担当者。それでも「金融機関向けの製品は普段、一般の目に触れにくい。ドラマに登場すれば社員のモチベーションも上がるし、営業トークにも使えます」と上機嫌だった。