ごみ拾い生計、足元にはガラス セブ島の子どもにスニーカーを

2020/08/24 14:00

贈られたスニーカーを手に笑顔を見せる子どもたち=フィリピン・セブ島(夏原亜美さん提供)

 東京都在住で兵庫県宝塚市出身の会社員夏原亜美さん(31)が、フィリピン・セブ島でごみを拾って生計を立てる貧しい子どもたちに、足をけがしないようにと使わなくなったスニーカーを贈る活動をしている。天使のような笑顔が見たいと「スニーカーエンジェル」と名付け、仕事の合間を縫って活動。「1人で彼らの生活を変えられるわけではないが、少しでも子どもたちの安全を守りたい」と話す。(今福寛子) 関連ニュース 【写真】フィリピン・セブ島に点在する「ごみ山」 5歳から川で毎日ごみ拾い 漂着物に疑問抱き研究 リサイクル続ける男子中学生を表彰 ペットボトル14年使用、市内で車乗らず 環境配慮の生活30年、こみ減らす工夫

 夏原さんは5年前、休職してセブ島に語学留学。そこでリゾート地が抱える別の姿を知った。観光客が集まる海辺から車で約1時間半ほどの内陸部。そこには分別されないまま運ばれた生活ごみが積み上がり、山のようになった場所が点在していた。
 「ごみ山」にはペットボトルや布などの資源を回収し、生活する人たちがいた。家族を養うため、学校にも通わずにごみをあさる子どもはサンダル姿で、ガラスや注射針が刺さってけがや感染症の危険がある。夏原さんは「学ぶ機会がない子どもたちは、大人になっても今の生活から抜け出すという選択肢がない。ショックだった」と振り返る。
 帰国後に外資系金融機関に転職。もともと国際ボランティアに興味があり、仕事が軌道に乗った頃「自分は恵まれた環境にいる。何か還元したい」と考え、セブ島の子どもたちに靴を贈ることを思いついた。
 2018年に家族から集めたスニーカー10足をスーツケースに詰め込み、単身でセブ島へ。笑顔で駆け寄ってきた子どもたちがスニーカーを取り合う姿に「自分のやれることをやっていこう」と決意した。
 現地の日本人ボランティアの助けを借り、昨年は6月と12月に計328足を贈った。活動は自身のインスタグラムで紹介しているほか、ごみ山の現状を日本の子どもたちにも伝える講演会を開いている。夏原さんは「毎日ご飯を食べて学校に行けることが当たり前ではない国がある。今後は現状を伝える場を増やして関心を持ってもらいたい」と話している。
 詳しくは夏原さんのインスタグラムで。

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