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友人からの手紙や贈り物がたくさん並ぶ和田ゆきのさんの祭壇=豊岡市内
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友人からの手紙や贈り物がたくさん並ぶ和田ゆきのさんの祭壇=豊岡市内
事故のあった交差点には花を欠かさない=豊岡市中陰
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事故のあった交差点には花を欠かさない=豊岡市中陰
事故のあった市道交差点。花が欠かさず、供えられている=豊岡市中陰
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事故のあった市道交差点。花が欠かさず、供えられている=豊岡市中陰
和田ゆきのさん(中央)と家族(提供)
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和田ゆきのさん(中央)と家族(提供)
和田ゆきのさんが亡くなる1カ月前に小学校で行われた「2分の1成人式」を終えて、20歳の自分に宛てて書いた手紙=豊岡市内
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和田ゆきのさんが亡くなる1カ月前に小学校で行われた「2分の1成人式」を終えて、20歳の自分に宛てて書いた手紙=豊岡市内

 「あなたがどんなことをしているのかとても気になります」。兵庫県豊岡市の市道交差点で昨年3月10日、当時10歳だった和田ゆきのさんが乗用車にはねられ、翌日に息を引き取った。20歳の自分に向けて書き記したメッセージに将来の夢を込めたが、思いは絶たれた。韓国の歌手グループが大好きで、家族思いの優しい女の子だった。「突然いなくなってしまった現実に、生きていることがつらいと初めて思った」。両親は割り切れない思いを抱え続ける。21日、秋の全国交通安全運動が始まる。(石川 翠)

 日曜の昼下がり。信号のない交差点に連なる車列は横断歩道をふさぐように続いていた。車の間を抜けて横断歩道を渡ろうとしたゆきのさんは、対向車線を走ってきた車にはねられ、約28時間後に亡くなった。

 家族5人での買い物の途中だった。家電量販店のおもちゃコーナーでゆきのさんは、弟の樹(たつき)君(5)の誕生日プレゼントにパズルを2個選んだ。もう一人の弟、瑛士君(10)も交えて楽しそうに笑う姿を見て、父哲治さん(40)は「今日は特に機嫌がいいな」と思った。

 ゆきのさんは、哲治さんがホワイトデーに買ってあげると約束したペンケースを探そうと、近くの100円ショップに一人で向かった。母小百合さん(39)が「横断歩道を渡って」と声を掛けると「うん、分かった」。それが最後の会話となった。

 面倒見のいいお姉ちゃんだった。樹君が生まれると、おんぶをしたりご飯を食べさせてあげたり、忙しい両親に代わって率先して面倒を見た。

 人の悪口を言わない。誰に対しても同じ目線で接する。頑張り屋-。遺影の周りは、友人から贈られた手紙や、大好きだった韓国の女性歌手グループTWICE(トゥワイス)やスヌーピーのグッズで埋まった。

 部屋には、翌日の授業の準備を終えたランドセルが残された。亡くなる1カ月前に小学校で開かれた「2分の1成人式」の冊子には、美容師になりたいと記した。

     ◆     ◆

 乗用車を運転していた当時29歳の男性は、勤務先から緊急の呼び出しを受けて向かっていた。「道路の状況、ゆきのの弾んだ気持ち、相手の焦り。たまたま重なってしまった」。哲治さんが声を落とす。

 男性は通夜に訪れた。哲治さんは迷った末、祭壇の前まで通した。やつれた表情で手を合わせ続ける姿は、心から悔いているように見えた。複雑な思いは消えないが「ゆきののことを思い、一緒に頑張って生きていきましょう」と言葉を掛けた。

 小百合さんは「性格的に渡る時に左右を確認したはず。連なる車で見えなかったのだろう」と思う一方、一人で行かせた後悔は残る。「やりたいことがいっぱいあっただろう。その姿をずっと見ていたかった」。職業は警察官。交通事故の担当ではないが、事故の情報と接することもある。

 「周囲の支えで、なんとか前を向いていられる。私たちにできることとして、子どもたちに自分の身を守る大切さを伝えていきたい」

 その交差点には花を欠かさない。目にした人に、ほんの少しでも意識してもらえることを願っている。

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