沖縄戦の生身の証言「重み感じた」 映画「島守の塔」監督、佐用の男性を取材
2020/09/11 06:00
現地で言葉を交わしたという元沖縄県知事の島田叡氏について、三枝利夫さんに取材する五十嵐匠監督(右)=兵庫県佐用町上三河
太平洋戦争末期の沖縄戦を描く映画「島守の塔」を撮影している五十嵐匠監督(61)が10日、兵庫県佐用町を訪れ、沖縄最後の官選知事・島田叡(あきら)氏=神戸市須磨区出身=と戦地で言葉を交わした三枝(みえだ)利夫さん(92)=同町=を取材した。75年前の島田氏や当時の現地の様子を聞き取り、三枝さんの思いにも耳を傾けた。(勝浦美香)
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映画は、島田氏と荒井退造・元沖縄県警察部長が主人公で、それぞれの出身地にある神戸新聞社と下野新聞社(栃木県)などが製作委員会を構成している。
沖縄戦で戦地をさまよった三枝さんは、たどり着いた軍医壕(ごう)で島田氏と面会。「僕は必ず生きて帰る。だから君も頑張れよ」と声を掛けられた。当時17歳だった三枝さんはこの言葉を支えに生き延びた。
五十嵐監督は本紙記事でこの体験を知り、佐用町の自宅を訪問。あちこちに遺体が転がっていた当時の沖縄や、住民の様子について細かく質問した。島田氏とのやりとりについても尋ね、三枝さんは「同じ兵庫県出身と伝えると懐かしがって、励ましてくれた。今でも命の恩人だと思っている」と答えた。
五十嵐監督は「三枝さんの証言からは、戦争を生き残るということの重さも感じた。シナリオを少し変更する予定なので、その参考にしたい」。三枝さんは「自分の体験を語ることが、次世代の平和につながればありがたい」と語った。
映画の公開は2022年を目指している。