井植文化賞に6個人団体 芸術科学福祉で地域貢献
2020/09/24 09:47
エンジニア 福寿喜寿郎さん
芸術や科学、福祉などで地域社会の発展に貢献した兵庫県ゆかりの個人・団体に贈られる「第44回井植文化賞」の受賞者が、決まった。太陽熱ボイラーを使って途上国支援などに取り組むエンジニアの福寿喜寿郎さん=加古郡播磨町=や、戦争孤児の体験を聞き取る活動を続ける「神戸の戦争孤児の記録を残す会」(神戸市垂水区)など3個人3団体が選ばれた。10月3日に予定されていた表彰式は新型コロナウイルス感染防止で中止となったため、賞状や副賞(個人50万円、団体100万円)はそれぞれに贈られる。(末永陽子)
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同賞は、三洋電機創業者の故井植歳男さん=津名郡東浦町(現・淡路市浦)出身=の遺志を継ぎ、1973年に公益財団法人「井植記念会」が制定。6部門で選出された。
文化芸術は、吹奏楽指導者の渡邊秀之さん=川西市。赴任した宝塚市立宝梅中学校と同市立中山五月台中学校をいずれも全国大会へ導き、金賞を受賞。指導力や実績が評価された。
科学技術で選ばれた福寿さんは、明石工業高等専門学校の1期生。2006年に機械設備会社「JFEメカニカル」(現・JFEプラントエンジ)を退職後、太陽熱ボイラーを開発し、子ども向けの体験教室や被災地支援を続ける。
社会福祉の助産師永原郁子さん=神戸市北区=は1993年、同区に「マナ助産院」を開業。24時間対応の相談窓口「小さないのちのドア」を始め、望まない妊娠や孤立に悩む妊婦らをサポートする。地域活動のNPO法人「インクルひろば」(同区)は2017年設立。子ども食堂や、専門員が相談に乗る認知症カフェなどを開き、地域を支えている。
報道出版の「神戸の戦争孤児の記録を残す会」は元神戸市職員2人が中心となり、17年に発足。19年11月に元孤児の証言を集めた「神戸の戦争孤児たち」を出版した。国際交流では、NPO法人「篠山国際理解センター」(丹波篠山市)が受賞。95年の設立以来、外国人住民向けの日本語教室や相談窓口などを設け、多文化共生に取り組んでいる。