飲食店隣席は飛沫リスク大 新型コロナ、スパコン富岳が予測

2020/10/13 18:50

飲食店で会話する時の飛沫シミュレーション。隣の人に向かって話すと、正面の人の5倍以上の飛沫が届く(理研、豊橋技科大、神戸大提供)

 理化学研究所(理研)などは13日、神戸・ポートアイランドのスーパーコンピューター「富岳」を使い、飲食店での会話や、大人数での合唱で飛沫がどのように飛散するかのシミュレーション(予測)をした研究結果を発表した。新型コロナウイルスに感染した人がいた場合、位置や人数、湿度などで変わる感染リスクを示した。飲食店では、隣席の人が最も飛沫を浴び、空気が乾燥するとエーロゾル(微粒子)化が進むことなどを明らかにした。(井川朋宏) 関連ニュース 【写真】ホールで対策せず合唱する時の飛沫シミュレーション 【写真】距離を取って合唱する時の飛沫シミュレーション。直接浴びるリスクは下がるが… 手作り布マスク、7~8割の飛沫をキャッチ スパコン「富岳」が計算

 予測は理研計算科学研究センターの坪倉誠チームリーダー(神戸大教授)らが取り組む。報告は6月、8月に続いて3回目。
 飲食店を想定したケースで、正面の人に話した場合に相手に届く飛沫数が5%程度だったのに比べ、隣の人に話すと5倍の25%超となった。斜め向かいの人は1%台にとどまった。
 オフィスで4人が机を囲む想定では、湿度90%ではせきをしても飛沫が机に落ちやすかった一方、前方の人に届く飛沫量は湿度が低いほど多かった。
 集団で合唱をするケースでは、それぞれ前後左右1メートル以上離れると、全員が密集するよりも飛沫が直接掛かるリスクは低下した。ただし、密集時に体温によって発生する上昇気流が、人が減ることで弱まり、飛沫が前方に広がりやすくなることも分かった。
 場面別の飛沫数は、せきを強く2度したときは3万個程度、会話は1分約900個、大声の歌は同約2500個だった。20分程度の会話、1曲5分程度の歌で、せき1回分と同等という。
 マスクの効果も検証した。鼻や口に入る飛沫数は3分の1程度に減らせるが、エーロゾルは非着用時と同様に、顔の隙間からのどの奥まで届くという。フェースシールドも大きな飛沫を防げるが、エーロゾルは隙間から入りやすいという。
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