屋台も男衆もない 灘のけんか祭り、静かに神事
2020/10/15 22:05
御幣などを手に、お旅所に向かう「年番」の八家地区の総代ら=15日午前9時15分、姫路市白浜町、松原八幡神社(撮影・小林良多)
「灘のけんか祭り」で知られる松原八幡神社(兵庫県姫路市白浜町)は15日、秋季例大祭を迎えた。今年は新型コロナウイルス対策で神事のみを執り行い、名物の屋台練りや「神輿合わせ」は自粛。一方、神社前の広場には出店が並び、日が暮れた後も子どもたちがひとときの祭り気分を味わった。
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けんか祭りは毎年14、15日にあり、姫路市南部の旧灘七カ村(地区)が参加する。播磨の秋を代表する行事だが、今年は各地区の代表でつくる総代会が6月下旬に屋台練りなどの見送りを決定。昭和天皇の容体が悪化した1988年以来、32年ぶりの自粛となった。
神事は同神社のほか、例年は神輿を運び上げるお旅山でも行われ、神職や氏子地区の代表者ら約20人が参加。コロナの収束と来年の例大祭の通常開催を祈願した。
この日は、兵庫県重要無形民俗文化財「毛獅子舞」で知られる大塩天満宮(同市大塩町)でも伝統の「御面掛神事」があった。
播磨ではほかにも、男衆が提灯をぶつけ合う「提灯練り」で有名な魚吹八幡神社(同市網干区)など、大半の神社の秋祭りが神事のみの実施となる見通し。(田中宏樹)