神出病院院長「精神保健指定医」取り消しへ 患者虐待事件
2020/10/23 06:10
神出病院=神戸市西区神出町
神戸市西区の神出病院で元看護師らが精神疾患のある入院患者を虐待した事件で、神戸市は同病院の男性院長が持つ精神保健指定医の指定取り消しを求め、国に報告する方針を固めた。22日の市会福祉環境委員会で明らかにした。
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精神保健福祉法は、精神保健指定医について、同法に違反した場合や職務で著しく不当な行為があった場合などに、厚生労働大臣が指定を取り消すことができると定めている。市保健課によると管理者である指定医はこれ以外にも、管理者責任を果たさず、患者の人権が侵害された場合も指定取り消しの対象になるという。
患者の行動制限や強制入院には指定医の診察や判断が必要。市は、同病院が患者4人を約2週間にわたって同じ部屋に閉じ込めるなど不適切な隔離をしていたことを監視カメラの映像で確認しているが、この病棟を担当していた指定医3人は市の聞き取りに「知らなかった」と話しており、市はこれらの指定医の責任を問うのは難しいとみている。
院長の指定取り消しは今後、市の報告を受けた厚労省が、審議会の答申を踏まえて判断する。指定を取り消された場合でも通常の診療行為はできるという。
同病院では、男性患者同士を無理やりキスさせたり、ホースやバケツで水や湯を掛けたりするなどの虐待行為をしたとして、元看護師の男ら6人が起訴され、3人が執行猶予付きの有罪判決、3人が実刑判決を受けている。(長谷部崇)