尼崎脱線事故の事故車両保存施設、24年完成 JR西方針

2020/10/26 06:40

脱線事故車両の保存施設が整備されるJR西日本の社員研修センターの敷地=大阪府吹田市

 乗客106人が亡くなった2005年の尼崎JR脱線事故を巡り、JR西日本は全7両の事故車両を一括保存する施設を、24年秋ごろに大阪府吹田市の社員研修センター内に完成させる方針を固めた。社員の安全教育に活用するのが主な目的で、映像も使って事故の重大性や悲惨さを伝えるほか、希望する遺族ら被害者に公開する。11月7、8日に伊丹市などで開く被害者説明会で施設の概要などを示し、遺族らの意見を聞く。 関連ニュース 尼崎市が3人の感染を発表 新型コロナ 西宮市で新たに5人感染 新型コロナ 女性看護師やクラスター施設利用者と同居男性など6人が感染 西宮

 JR西は昨年11月、事故車両全てを同センター内で保存して社員教育に活用する方針を表明していた。今年4月には事故後に入社した社員が半数を超え、事故の風化防止が最大の課題となる中、安全教育プログラムの見直しも進めている。
 事故車両は兵庫県警が証拠品として押収後、11年に神戸地検からJR西に返還された。1~4両目は衝突や救出作業で切断、解体されており、現在は高砂市の倉庫に保管。5~7両目は大阪市にあるJR西の敷地内に置かれている。
 関係者によると、新たに整備する施設は地上1階部分の広さが約1500平方メートルで、天井までの高さは2階建てに相当する約7メートルを確保。温湿度管理を徹底し、車両の劣化を防ぐ。安全教育のための映像設備なども設ける。今年から具体的な設計などに入り、23年から車両を搬入する予定。
 車両の取り扱いを巡っては、事故現場での保存を求める遺族もおり、被害者の間でも意見が分かれる。JR西は、一般公開の是非も含め「さらに時間をかけて慎重に検討したい」としている。
 また11月の被害者説明会では、事故が発生した4月25日に毎年開いている追悼慰霊式についても触れる予定。今年は新型コロナウイルスの影響で中止したが、来年は感染防止策をとった上で開催する方向で検討しているという。(前川茂之)

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