兵庫県、温室ガス2050年ゼロ 計画前倒し 再生エネ、EV後押し
2020/11/03 08:00
神戸新聞NEXT
兵庫県は2日までに、県内の二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロを目指す方針を固めた。これまで30年度の排出量を13年度比で26・5%削減するとしてきたが、国内外での脱炭素化の流れを受けて判断した。現行の「県地球温暖化対策推進計画」を見直し、温室効果ガスの排出量カットを加速させる。(山路 進)
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脱炭素化を巡っては、菅義偉首相が10月26日の衆院本会議で、50年までに排出量の実質ゼロを目指すと宣言した。井戸敏三知事も9月29日の県議会本会議の答弁で「長期的なあるべき将来像として、50年にCO2排出実質ゼロを目指すべき」と言明。その後、10月26日付で環境省に表明したことを通知した。
同省のまとめでは、「50年までの排出実質ゼロ」の表明は47都道府県で23番目、県内自治体では3月の明石市に次いで2番目という。海外でも、欧州連合(EU)と英国が50年に実質ゼロを目指すと公表。国別でCO2排出量が最も多い中国も9月、「60年に実質ゼロ」を発表している。
県は、再生可能エネルギーへの代替に向けた産業界での技術革新や、化石燃料に頼らない生活スタイルへの転換を前提に、長期展望として「50年に二酸化炭素排出実質ゼロを目指す」とした。
具体策は未定だが、まずは県地球温暖化対策推進計画(17~30年度)を、当初より3年前倒しで20年度中に改定することにした。30年度に26・5%削減(13年度比)とした現行計画から削減幅を上積みする。このため、県は9月に開いた県環境審議会の部会で、「34%削減」と「38%削減」の改定案を提示した。
両案の上積み分のうち、1~2%は県独自の補助事業を拡充することで対応。家庭での太陽光発電の拡大や電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)の普及などを図る。さらに、人口減少や経済の縮小で5%の削減を、省エネなどで1・2%のカットをそれぞれ見込んでいる。
38%削減案については、石炭火力発電所の廃止・転換で4%を圧縮。CO2を多く排出する非効率型の石炭火力発電所を30年度までに休廃止する国の方針を踏まえた。
【兵庫県の温室効果ガス排出量削減目標の算出方法】 産業別の生産量やオフィス稼働率、世帯数などのデータを基に2030年度の排出量を推計。その上で、全国的な省エネにつながる機器開発や生活スタイルの普及など国レベルでの排出削減量と、県独自の施策による削減量を上乗せする。