「須磨多聞線」再調停打ち切り 神戸市、出席応じず
2020/11/05 20:39
神戸新聞NEXT
神戸市が須磨区西須磨地区で整備を進める都市計画道路「須磨多聞線」を巡り、兵庫県公害審査会調停委員会(委員長・永井光弘弁護士)は5日、建設に反対する地元住民らが申し立てた第2次公害紛争調停の打ち切りを通告した。昨年3月に再調停が始まったが、市側は一度も出席に応じず、調停委はこれ以上の協議は望めないと判断したとみられる。
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調停委はこの日、神戸市内であった第3回調停で「話し合いが成立する見込みがなく、本日で調停を打ち切る」などと住民側に伝えた。
同線は須磨-垂水区を結ぶ全長約7キロで、同地区では山陽電鉄線路を高架橋でまたぐ約520メートルの計画。住民側は計画に反発して1997年に第1次調停を申請した。協議は15年3カ月に及んだが、市が調停案を拒否して打ち切りに。2018年7月に市が測量を実施し、住民側は4809人の申立人を集めて同12月に再び調停を申請した。
同線の整備は今年3月に歩道工事が先行して始まった。住民側は10月、調停に応じないままでの整備開始は不当などとして住民監査請求にも踏み切った。今後、監査結果次第では住民訴訟を提起する方針。
西須磨都市計画道路公害紛争調停団の宗岡明弘団長(67)は「多くの市民の思いに市は応えなかった。着工を差し止めるために手を尽くす」と語った。市道路工務課は「(調停打ち切りについて)申し上げることはない。今後も説明会などで道路整備に理解を求めていく」とした。(金 旻革)