虐待体験、女性の肥満に影響 神戸市の2万人調査分析 神戸大

2020/11/26 06:10

神戸大=神戸市灘区六甲台町1

 女性の肥満は子ども時代に親から虐待された体験も一因-とする研究結果を、神戸大大学院医学研究科の田守義和特命教授らの研究グループが25日、発表した。2018年に市民2万人を対象に行った神戸市のアンケートを基に分析したところ、男性にはない女性特有の肥満との関係性として虐待体験などが浮かんだ。研究グループは「社会的な観点からの介入も肥満防止に重要」としている。研究成果は米国の科学雑誌(電子版)に掲載された。(霍見真一郎) 関連ニュース 虐待受けた子ども、脳機能低下 褒められても心に響かず 頬に包丁当て「おしゃべりできませんか」 祖母が5歳孫を虐待 10円玉握り「おなかすいた」 コンビニで5歳女児保護 実母ら逮捕


 解析したのは、神戸市が行った「市民の健康とくらしに関するアンケート調査」(2万人対象、解析可能者は5425人)。質問の中に身長と体重を問う項目があったことから、体格指数(BMI)25以上に当たる人を「肥満」として抽出。別の質問にあった、子ども時代に経験した逆境体験と関係性を探った。
 肥満女性との関係性が分かったのは、親に殴られてケガをした▽食事や着替えなど、必要な世話をしてもらえなかった▽親から傷つくことを言われたり侮辱されたりした-という虐待体験。ほかにも婚姻の有無や経済的状況、学歴でも関係性がみてとれた。男性では、いずれの項目でもこういった関係性はなかった。
 田守氏は「虐待を受けた子どもが糖質や脂質の多い食べ物に依存したり、成人後ストレスを受けたときに過食に走ったりすることは考えられるが、なぜ肥満との関係性が女性だけ生じるのかは不明」と話している。

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