障害者福祉施設の職員だった50代の女性が解雇されたのは不当などとして、施設を運営する社会福祉法人(兵庫県川西市)や兵庫県、川西市に損害賠償や地位確認を求めた訴訟の判決が3日、神戸地裁であった。泉薫裁判長は法人の解雇権乱用を認め、判決確定日までの給与に値する約300万円などの支払いを法人に命じた。
一方で、原告の女性は、女性の公益通報を受けた県と市が法人と共謀して解雇を招いたと主張したが、泉裁判長は退けた。
判決によると、女性は2016年7月に法人と労働契約を結んだ。施設では手芸に使う針を利用者が共有しており、出血に伴う感染症の危険を感じて改善を進言。針の管理方法は見直されたが、女性は利用者らの血液検査などを求め、これまでの管理態勢を県や市に情報提供した。同年10月、法人の信用を傷付ける行為をしたとして解雇された。
泉裁判長は、女性が県や市に情報提供した時点で針の管理は見直されており、公益通報に当たらず、公益通報者保護法の解雇禁止事項に違反しないと判断。一方で、女性の情報提供は法人の信用を損ねたとは認めず、法人の解雇は無効とした。
