井山裕太天元(31)=棋聖・名人・本因坊=に一力遼碁聖(23)が挑戦している囲碁の第46期天元戦5番勝負(神戸新聞社主催)は第3局が終わり、井山が2勝1敗で防衛に王手をかけている。いよいよ決戦の舞台は兵庫県に移り、第4局は7日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで打たれる。勝敗によっては3勝1敗でシリーズが終わるのだが…。さて-。
天元戦第4局は例年、兵庫県内が会場。長く神戸市内のホテルで行ってきたが、2006年から淡路と神戸のどちらかで開かれるようになり、16年からはホテルニューアワジが続く。
とはいえ、第4局は必ずあるわけではない。第1局から一方が3連勝すると、第3局でシリーズが終了してしまうからだ。ただ、3連勝する確率は12・5%。数字上は、10局のうち9局ほどは打たれるわけだ。
しかし、2000年~19年の計20回でみると、第4局が打たれたのは10回。確率は50%と、かなり低い。
では、10回のうち2勝1敗の棋士が勝ち、3勝1敗でシリーズに決着がついたのは何局あるのか。調べると、4回。最近では井山が一力の挑戦を退けた16年で、それ以前となると07年までさかのぼらなければならない。
反対に、残り6回は1勝2敗と劣勢の棋士が第4局に勝利を収め、最終局まで持ち込んでいる。近年では18、19年とフルセットが続いた。ちなみに第3局まで1勝2敗で、第4、5局の連勝によりシリーズを逆転勝ちしたのは、19年の井山、14年の高尾紳路十段(当時)。井山は防衛に成功し、高尾は井山から奪取した。
ここで、気になる兵庫対局における過去の結果を見てみよう。今回で10年連続10回目の登場となる井山は、過去9年で5回はストレート勝ちしたため、第4局を戦ったのは4回。戦績は2勝2敗だ。
一方、3年ぶり3回目の一力は、過去2回のうち、17年はストレート負けして第4局がなかった。唯一あった16年は負けた。
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ここまで書くとお分かりだと思うが、00~19年の天元戦の対戦成績で最も多いのは、3勝0敗の10回。10年からは4年も続いた。
実は、こうした傾向は5番勝負で争う他棋戦でもみられる。同期間で王座戦は3勝0敗が9回で最多となっており、3勝1敗の8回を上回っている。碁聖戦は3勝2敗と並んで8回。しかし、十段戦は4回で、3勝2敗の9回、3勝1敗の7回を下回る。
一方、2日制の7番勝負において初戦から4連勝したのは、棋聖戦が4回、名人戦が3回で、本因坊戦はわずか1回しかない。
どうやら5番勝負は勢いがつくと、一気に突き進みやすいようだ。
