「ゆで干し大根」寒風で甘み深く 稲美
2020/12/09 11:30
湯気が立ち上る中、すだれの上で天日干しされる大根=兵庫県稲美町草谷
寒さが増す中、兵庫県稲美町の郷土食「ゆで干し大根」作りが、町内で唯一手掛ける農家で最盛期を迎えている。切り干し大根とは違い、蒸す手間を加えるのが特徴。蒸しと朝晩の冷え込みで甘みが増すという。
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同町草谷、下草谷地区は大根の産地で、ゆで干し大根は昭和初期から保存食として作られてきた。煮物にすると軟らかくなり、高齢者にも食べやすくなる。
同町の辻本町子さん(72)は11月下旬に作業を開始。かんな状の道具で長さ約50センチ、重さ約2・5キロの大根を細長く切り、すだれの上で3日干す。蒸した後、再び天日にさらすと印南野台地の寒風の下、あめ色になって縮れる。
来年1月末までに約60キロを仕上げる。辻本さんは「切り干し大根よりも甘みが深く、軟らかくて食べやすいですよ」と話す。町内の農産物直売所に出荷し、稲美、播磨町の学校給食にも提供する。(笠原次郎)