井戸知事「バイデンさんより3歳下だが年齢考えないと」 会見一問一答

2020/12/11 18:06

らの退任表明を受けて改めて会見する井戸敏三・兵庫県知事=11日午後、兵庫県庁(撮影・山崎 竜)

 来年7月末の任期満了で退任する意向を明らかにした井戸敏三兵庫県知事は11日午後5時から、記者会見に臨んだ。主なやりとりは次の通り。 関連ニュース 前知事の井戸氏が中国・広東省から表彰 長年の交流活動評価「友誼賞」 井戸敏三氏の後援会「新生兵庫をつくる会」解散へ 月内にも方針決定見通し センチュリー「解約に向け調整中」 新たな公用車はワンボックス 就任1カ月の兵庫県知事

 「あの、もう趣旨は議場で述べましたので、繰り返すことになりますから、ご質問があればお答えします」
 -退任を決断したのはいつか。また新型コロナウイルスが落ち着かない中で決断した理由は。
 「5期目に臨んで当選したくらいから、次は自分の意思としても、6期目挑戦するということはまずないのでは、と基本的には思っていましたから、だんだん来年の知事選がどうなるのか関心を持たれ始めた今年の2月議会以降、4月以降、もう(意向を)固めた方が良いと思った。問題は(表明を)遅くすればするほど、『井戸が6期目に出るのでは』と期待する声も出てきますので、これは(来年)3月に(表明)すると、そういう声が強くなる可能性がありますので、12月議会のこの最終日に表明した」
 「ご指摘の通り、コロナ禍の中だが、コロナの収束がいつできるか分かりませんし、私の任期も表明の中で触れているように、来年の7月までありますので、新しい課題は次の世代に引き継ぐ形になるが、コロナ対策を専心してやっていくことになる。『コロナをやれ』となれば(6期目以降も)引き続きやることになる。そうならないよう表明させていただいた」
 -今年2月以降、表明のタイミングをうかがっていた?
 「タイミングは、来年3月か、今年12月かと考えていた。一番早いのは9月議会の最終日だったが、これはちょっと早すぎる感があるので、12月議会にさせていただいた」
 -この12月議会に決断した理由は。
 「今も言いましたように、自由民主党の委員会(知事選挙等検討調査会)で人選を議論しているんですが、井戸の去就がはっきりしていないので前に進んでいないんですね。どうやら。ですから、「井戸はないぞ」としっかり表明することで、次のステージに進んでいかないといけない」
 -退任の理由について。
 「私は前から、知事の任期ごとに課題を掲げて当選させていただいて、それが5回続いているのが現在の状況。6回続いても何らおかしくないんですが、来年の7月で75歳11カ月。もう76歳になる。いくらバイデンさん(米次期大統領)より3歳下だといっても、自分なりに年齢を考えないといけない」
 「また、長く知事を続けていると、発想と行動がパターン化してくる可能性がある。それで、この際、交代すべきではないか。別の方に託した方が、新しい課題に対する対応力が生まれてくる。新しい方には先見性と行動力を期待したい」
 -任期はまだ7カ月と少しあるが、5期にわたる任期の実績を振り返ると。
 「やっぱり、(阪神・淡路大震災の)復興計画だ。(前知事の)貝原さんから託された計画をどう実現するか。大変な重荷であり、一つの大きな課題だったし、100点はいただけなくても、合格点はいただけるような実績が生まれたと思っている」
 「声明でも言ったように、2006年に『のじぎく兵庫国体』が開かれた。『心から・ひょうごから』という標語とともに、県民と一緒に展開した国体だった。いまだに言われるが、開会式のときのフィナーレの状況、1000人以上のダンサーと、宝塚の宙組が参加した最後の盛り上がりは、当時の日本体育協会会長だった森喜朗元総理も、私の顔を見るたびに言うくらいだ」
 「それと、やっぱり災害。震災から25年がたったが、大きな災害にいくつか見舞われた。復旧、復興が、私の一つの大きな使命になった。2004年の台風23号では、被害を受けそうだという一報をフランス出張の際に受けて、日程を1日繰り上げて関空に戻って、防災ヘリで豊岡に飛んだ。豊岡から洲本にぐるっと回ってから、対策本部を開いたことも印象深い。知事が現地を見たおかげで、指示がある程度、的確にできた。災害に強い県土づくりのきっかけだったと思う」
 「行財政改革でも、職員、県民に協力いただいた。厳しい行革項目だったが、実施しながら、新しい課題にも積極的に対応することができたと思っている」
 「もう一つ、さらに言えば基幹道路の整備だ。震災復旧、復興の中で棚上げになっていたが、基幹道路の整備を手掛けられるような財政再建のめどが立ったこともあり、再スタートできたというのも大きなことではなかったかなと思っている」
 「それと、県立病院がちょうど建て替え時期だった。財政が厳しいと延ばしがち。私は、健康を守るとりではあえて、こういう時期でも計画的に、順番に整備していくことが必要だと考えて推進した」
 -家族にはいつ退任の意向を伝えたのか。
 「家族は妻しかいませんから。もう娘は嫁いでいて、孫もいるので」
 -どんな言葉を。
 「『表明するよ』と言っただけです。元々嫌がっていたのでやっと解放されると思ったのでは」
 -県議会の自民党が次期知事選で支援する候補者を金沢和夫副知事で検討している。自身も現時点で後継と考えているか。
 「(金沢副知事については)自民党で委員会をつくって検討されているので、ここで私がコメントしない方が良いのではと思っている。私の副知事をずっと務めてくれ、一緒に仕事をしてきたというのはあるので、そういう意味では『望ましい』とは言えるのかもしれませんけど、これは自民党の委員会(検討調査会)の方で十分ご議論いただければいいのかなと思います」
 -退任後、どこでどのように過ごしたいか。
 「当然、夫婦で神戸で過ごします。今さら東京に戻ったってどこにも行くところはないし、友人と会うくらいです。私の性分からいうと、隠居生活はできないでしょうから」
 -心残りや次に託したいことは。新型コロナ以外で。
 「大きなプロジェクトが始まろうとしている。県庁の建て替えや、但馬空港の取り扱い。明日の兵庫をつくるようなプロジェクトを予算でどのようにしていくかも含めて、自分の代ではできないことですので、次の方に慎重に検討していただきたいなと」
 「広域的なことでいうと、ワールドマスターズゲームズや大阪万博。あとは人口減少問題。予算でも当然課題や議論になる。自然減、社会減が進んでいる。誰が取り組んでも難しい課題ですけども、新しい知恵があればいい」
 -先ほど自民党の県議団の委員会(検討調査会)が終了し、金沢副知事を(支援候補者として)推すことになったようだが、改めて金沢さんについて一言。
 「(推すことに)なった? 聞いたことはないですよ。本当ですか?」
 -先ほど、県議団の会合で。
 「だって、会長の山本敏信さん、そんな表明した? 私の所には何の連絡もないですよ」
 -金沢さんでなくとも、後任に何を望む。
 「今の段階で望むのは早すぎる。まだ8カ月先ですから、私の立場は21年度予算編成をしっかりやって、後を託さざるを得ない時にどうするかではないかと思っています。ただ、姿勢の面では先見性や行動力、それから統率力とかリーダーシップとか、そういう点はぜひ発揮していただける人でないと。大兵庫ですので、単純にこなすということではいけない。そういう人でないといけないと思います」
 -(県議会で)あいさつしたときの気持ちは。
 「全然、特に、淡々と気持ちを述べさせていただいた。気負いも何もない。『一つの区切りを迎えたな』という感じ」
 -残りの任期の意気込みを。
 「あと8カ月弱あるが、これはしっかりと、知事としてできることをやっていかないといけない。コロナ対策はその筆頭。『こんなコロナの時に辞めるのは不見識じゃないか』という意見もあるかもしれないが、逆に『残された8カ月でしっかりやりますよ』という意気込みをしっかり県民に示したうえで、来年の知事選挙に出ないと申し上げたつもりだ」
 (質問終了)
 「まだ8カ月ありますから、こういう会見もまだある。明日から辞めるわけではないので、引き続きのご指導をお願いしたい」

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