コロナ禍初「成人の日」 複雑…直前延期や短時間

2021/01/11 20:40

昨年に続き、甲子園球場が会場となった西宮市の成人式。1席ずつ空けて着席した新成人が三本締めをした=11日午後、西宮市甲子園町(撮影・後藤亮平)

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中で迎えた「成人の日」の11日、兵庫県内の16市町で成人式が行われた。感染防止のため大半の会場はイベントを控え、時間短縮や2部制などを採用。一方、3日前に急きょ式典の延期が決まった神戸市では、「せめて晴れ姿の記録を」と市街地で記念撮影を繰り返す新成人の姿がみられるなど、異例ずくめの門出の日となった。 関連ニュース 【表】成人式の延期を決めた兵庫県の市町 神戸市、成人式の延期を発表 市長の「中止」投稿から一転 ツイッターで「成人式中止」 市長投稿に賛否の声

 県内では10、11日に29市町が成人式を開催。一方、今月3日に式を終えた佐用町を除き、神戸市と但馬や丹波、淡路、播磨地域の11市町が延期を選んだ。郡部は新成人の帰省に伴う感染拡大を警戒した。
 8日夕に延期を決めた神戸市は対象となる新成人は約1万5千人だが、日程や会場が未定のままだ。11日に会場になるはずだったノエビアスタジアム神戸(同市兵庫区)には午後3時ごろ、振り袖や羽織はかまに身を包んだ男女約400人が集まった。前日に会員制交流サイト(SNS)で集う情報が流れたという。
 同市兵庫区の会社員女性(20)は「延期の日程次第では仕事で行けないかもしれないので来た」と苦笑い。高校のときの友人らと訪れた同市須磨区の大学生の男性(20)はヘアセットの予約をキャンセルし、「(延期の)決定が急すぎる」と不満げ。夜は約10人で飲食店を貸し切って食事すると話した。
 また同市中央区の生田神社には、干支の絵馬の前などで写真を撮る新成人の姿があった。大学生の女性(20)は友人と振り袖姿でポーズを決め、「延期されて日付も決まらずに不安だけど、当日も晴れ着を着たい」と笑顔だった。
 一方、姫路市が11日に開いた式には対象の約5800人のうち、半数の約2900人が参加。密集を避けようと午前と午後の2部制とし、さらに会場は4カ所に分散し、オンライン中継も行った。新成人は入り口で検温し、健康状態を記した参加票を提出して入場。間隔を空けた席に座った。
 建築業の父親に弟子入りした男性(19)は「いつも笑顔を絶やさない姿勢を見習っている。いつか自分も会社をつくり、家を建てて、お客さんを笑顔にしたい」と夢を語った。
 また、但馬地域の3市2町では唯一、香美町が予定通りに10日、時間を短縮して式を開催した。コロナ禍に加えて大雪にも見舞われたが、対象者196人のうち148人が出席し、参加率は例年より少し低いだけの約75%だった。
 人口が減少し、高校卒業後は進学や就職で古里を離れる若者が多い但馬。大阪市の専門学校生の男性(20)は「成人式は同級生との顔合わせイベント。簡素化はむしろ歓迎で、場があるだけでいい」と旧友との再会を喜んだ。
(上杉順子、坂井萌香、安藤真子、金海隆至)
【特集】目で見る兵庫県内の感染状況

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