「シ」か「ツ」か “看板”ゆえまさに1文字“死活問題”
2021/01/26 19:00
1文字だけみると「シ」なのか「ツ」なのか見分けが難しい看板の文字=神戸市中央区元町通5、洋食店「グリル スターシップ」
幼い頃、誰もが書き分けや見間違えに注意したであろう、カタカナの「シ」と「ツ」。そのどちらとも取れる1文字に、ミナト神戸で出合った。何度見てもどちらかに決めきれず、気になってしょうがない。まさに、「シ」か「ツ」問題!?(秋山亮太)
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判別が難しい文字は、神戸元町商店街の洋食店「グリル スターシップ」(神戸市中央区元町通5)の看板にあった。創業は1965年。ビーフシチューやオムレツが人気で、店の看板には屋号よりも大きく「オムレツとシチューの店」とある。その「シ」の文字がなんとも分かりづらい。
シとツ、二つを見分ける最も大きな手掛かりは1、2画目の点々の向き。だがくだんの文字の点々は縦向きにも横向きにも見える。次に区別のポイントになりそうなのは3画目のはらいの方向だが、丸みのある字体で、こちらもわかりにくい。はっきり読める「ツ」が近くにあり「シチュー」という語から「シ」だと読めるが、この文字だけなら迷宮入りだったかもしれない。
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なぜ、こんな看板になったのか。お店に尋ねてみた。創業者の酒井寛さん(79)の妻、智恵子さん(76)は意外にも「長年店にいるけど、気になったことがなかった」。智恵子さんによると、約30年前、卵料理好きの寛さんが幅広い世代の人たちに来てもらおうとオムレツの提供を始めた。同じタイミングで店の改装工事があり、看板も付けることに。その際、創業時から人気だったシチューと合わせて「オムレツとシチューの店」を冠することになった。以来、看板は触っていないという。
「直前の『ツ』につられた業者さんが途中で間違えたことに気づき、『シ』に修正したのかも」。6年前に店を継いだ2代目の川西陸隆さん(47)は、妻の万貴さん(46)と思いを巡らせる。長年、店の客らに指摘されたことはないというが、「最近は店の前で足を止め、不思議そうに看板の字をじっと見つめる若者の姿を見ることも多いですね」と万貴さん。
図らずも、店への注目を集める効果をもたらした「シ」の文字。陸隆さんは看板を変える気はない。「味や店の雰囲気と一緒。大事な魅力として守っていきたいですから」
たかが1文字、されど1文字。
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