兵庫県は2021年度、在宅で子育て中の親らを訪問し、育児相談に乗る事業を始める。新型コロナウイルス感染の不安を抱え、子連れで出掛けることの大変さから、外出をためらう世帯は多い。行政の相談窓口にも行けず、子育て支援を受ける機会の少ない世帯に対し、積極的な対策に乗り出す。(貝原加奈)
幼児を育てる世帯は、子どもがぐずったときの周囲の目を気にして、自宅にこもりがちになりやすい。幼稚園などへの就園前では、育児の悩みや不安を相談する先が少なく、支援の手が届きにくい状況がある。
このため県は、相談用の専用ダイヤルを設けて、保育士らが対応。必要に応じて、保育士や看護師、栄養士ら専門職を「在宅育児応援団」として子育て世帯に派遣し、育児や健康、栄養相談などを受ける。
人工呼吸器や痰(たん)の吸引など、医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」については、保育所などでも受け入れることができるように体制を整える。
厚生労働省の推計によると、在宅の医療的ケア児は全国で約2万人。この10年で約2倍に増えたという。周産期先進医療の高度化が背景にあるといい、今後も増加が予想されている。
小学校に進学すれば、特別支援学校などがある一方で、就学前の医療的ケア児の居場所については選択肢がなかった。このため、親の就労や病気などで保育が必要な医療的ケア児を受け入れる保育所などに補助金を支給。看護師の配置に加え、保育支援者の配置や研修費、ガイドラインの策定にも広く補助することで、安定した支援体制の構築を目指す。
