緊急事態の解除要請、足並みの乱れ危惧 関西3府県で異なる独自基準
2021/02/06 05:30
緊急事態宣言について会見で説明する井戸敏三・兵庫県知事=1月12日、兵庫県庁
 新型コロナウイルスの感染拡大で延長された緊急事態宣言について、大阪府が国に解除を求める際の独自基準の達成の可能性が高まっている。一方、大阪とは異なる条件を設ける兵庫県は5日時点でまだ満たしていない。兵庫県の井戸敏三知事は大阪、京都府と連携して国に解除を求める方針を示しているが、今後、足並みが乱れることで感染再拡大の危険を指摘する声もあり、県関係者も大阪の動きにやきもきしている。(末永陽子)
          
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 大阪府が掲げる基準は(1)新規感染者数が直近1週間平均で300人以下(2)重症病床使用率が60%未満-の二つ。どちらかを7日連続で満たした場合、緊急事態宣言の期間終了を待たずに、国に解除を要請すると決定している。
 そのうち新規感染者数の1週間平均は今月2日時点で300人を切り、5日まで4日連続で下回った。このペースが続けば、週明けにも(1)の条件を満たす可能性がある。
 ただ、大阪府は基準に達した場合でも、宣言の解除を要請する前に専門家の意見を聞くとしている。
 吉村洋文知事は8日に独自基準を達成した場合、9日にも対策本部会議を開いて対応を協議する予定。「大阪だけが基準を満たしても勝手にやるつもりはない」と説明している。
 一方、兵庫県は(1)1日の新規感染者数の1週間平均78・1人以下(2)重症病床使用率50%未満-の両方が7日連続で達成されることを条件に挙げている。
 いずれも、宣言の延長が決まった2日から5日まで下回った日はなく、高水準が続く。井戸知事は「兵庫が基準を満たしても、大阪と京都がクリアしなければ、兵庫だけ解除を要請することはない」と、3府県で歩調を合わせたい考えを示している。
 大阪の独自基準については、専門家から「甘すぎる」との指摘も上がる。新規感染者数が減る一方で、重症病床使用率の高止まりが続く。
 感染症に詳しい関西福祉大の勝田吉彰教授は「飲食業界などさまざまな声がある中での判断だが、(このタイミングでの解除に)懸念はある」とする。感染再拡大の可能性も挙げ「解除しても、時短要請と協力金の組み合わせを段階的に維持するなど何らかの感染防止対策が必要」とした。
【特集】目で見る兵庫県内の感染状況